レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Black Sea / XTC【UK盤】

まだ続くのか、XTC

続きます…

 

今までに以下のアルバムを採り上げてきた。

オレンジズ・アンド・レモンズ

スカイラーキング

ザ・ビッグ・エクスプレス

ママー

イングリッシュ・セトルメント

 

リリースの逆順に採り上げてきた訳だが、もう一枚だけ遡って採り上げたい。

 

ということで、今回の「レコード評議会」はこれ。

 

 

XTC

Black Sea

UK盤(1980年)

Virgin

V2173

Side1:V2173 A2  C  TOWNHOUSE

Side2:V2173 B2  C  TOWNHOUSE  D


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Side1

 1. Respectable Street

 2. Generals And Majors

 3. Living Through Another Cuba

 4. Love At First Sight

 5. Rocket From A Bottle

 6. No Language In Our Lungs

Side2

 1. Towers Of London

 2. Paper And Iron (Notes And Coins)

 3. Burning With Optimism's Flame

 4. Sgt. Rock (Is Going To Help Me)

 5. Travels In Nihilon

 

 

名盤との呼び声が高い「ブラック・シー」(4枚目のアルバム)。

 

スカイラーキング」や「イングリッシュ・セトルメント」と最高傑作を争うほど、高く評価されている。

 

 

例のごとく、このアルバム「ブラック・シー」についてChatGPTに訊いてみた。

 

XTCのアルバム「ブラック・シー」は1980年にリリースされた彼らの4枚目のスタジオアルバムです。以下にこのアルバムに関する詳細をまとめます。

 

基本情報

• アーティスト: XTC

• アルバム名: Black Sea

• リリース日: 1980年9月12

• プロデューサー: スティーヴ・リリーホワイト

• エンジニア:ヒュー・パジャム

• レーベル: Virgin Records

 

背景と制作

ブラック・シー」は前作「ドラムス・アンド・ワイアーズ」の成功を受けて制作されました。プロデューサーのスティーヴ・リリーホワイトとエンジニアのヒュー・パジャムと再びタッグを組み、彼らのサウンドはよりタイトでパワフルなものとなりました。アルバムはロンドンのタウンハウス・スタジオで録音されました。

 

曲目リスト

1. Respectable Street
2. Generals and Majors
3. **

 

と、ここで説明が中断。

赤字で以下のメッセージが表示された。

 

このコンテンツは利用規約または利用規定に違反している可能性があります。

 

ん?どういうこと?

 

今一度ChatGPTに訊いてみたが、やはり同じところで中断、同じメッセージが表示された。

 

3曲目の曲名が表示されず、それ以上進まない。

ということは、3曲目に何らかの要因があるのか?

 

と3曲目を見ると"Living Through Another Cuba"。

 

"もう一つのキューバを迎えている"、"かつてのキューバ危機の様な状況に直面している"という意味の様だ。

 

これはヤバいタイトルだ」とChatGPTが看做したと言うこと??

こんなのにも反応してしまうのか? ChatGPT

 

 

と、気を取り直して、いつも通り各曲を紹介しよう。

   A:アンディ・パートリッジ作曲

   C:コリン・モールディング作曲

  ⭐️の数:個人的に好きな度合い(最高で⭐️5つ)

 

 

Side1

1. Respectable Street (A)⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

アルバムリリースより6ヶ月後の1981年3月にシングルリリースされている。

歌詞の中に"portable Sony Entertainment Centers"ソニーWalkmanのことのようだ)とあるのが問題としてBBCで放送禁止となり、チャートインせず。

アンディが当時住んでいたスウィンドンの自宅斜め向かいのBowood Road(ボウッド通り)や、Mrs.Washingと呼ばれる隣人(いつも洗濯をしていたのか?)からインスピレーションを得て作られた曲なのだとか。

ぎくしゃくとしたリズムのひねくれロック。アンディならではの曲だ。

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レコードを聴いていたら妻が「ユニコーンの"働く男"(1990年)に似てない?」と言うので、聴いてみたら確かに似ている!

奥田民生ビートルズ好きなので、XTCも好きだろうし。

 

2. Generals And Majors (C)⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

アルバムのリリースに先立って1980年8月9日にシングルリリースされている。UKチャート32位。

"Oh, What A Lovely War"(素晴らしき戦争、第一次世界大戦を風刺したミュージカル及び映画)というフレーズに触発されて作られた曲なのだとか。

ビートルズの"Doctor Robert"や"Paperback Writer"にインスパイアされているのだとも。

楽しげでノリの良い曲。

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3. Living Through Another Cuba (A)⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

前述の通り、ChatGPTの「検閲」に引っ掛かった曲…

1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻、1980年のモスクワオリンピックへの西側諸国のボイコットといった冷戦の緊張が高まる中で書かれた曲。

繰り返されるリズムに乗って"Living Through Another Cuba(もう一つのキューバを迎えている"、"かつてのキューバ危機の様な状況に直面している)"とのフレーズが繰り返される。

これがファンクなノリで、最高だ。ライヴでも人気だった様だ。

 

4. Love At First Sight (C)⭐️⭐️⭐️

一目惚れ、というタイトル。

少しディスコっぽいリズムに、コリンらしい素直なメロディで楽しげな曲。

カナダでのみシングルリリースされている。

 

5. Rocket From A Bottle (A)⭐️⭐️⭐️⭐️

恋をして浮かれている曲ということで、テーマは前曲と似ているが、曲調は全然違う。

アンディならではのひねくれ系ギターポップ

 

6. No Language In Our Lungs (A)⭐️⭐️⭐️

我々は、世界をどう捉えているのかとか、心の中にあるものなどを全て伝えることなど出来ない、といった歌。

 

Side2

1. Towers Of London (A)⭐️⭐️⭐️⭐️

アルバムリリースより1ヶ月後の1980年10月10日にシングルリリースされている。UKチャート31位。

アンディにしては割と素直な曲調。

ロンドンのタワー・ブリッジの建設を題材とした曲で、鉄を叩く様な音がリズムに織り込まれている。

曲の冒頭で"take a hundred and three (テイク103)"という声が聞こえる。ジョークらしいが、何ともビートルズっぽい。

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2. Paper And Iron (Notes And Coins) (A)⭐️⭐️⭐️⭐️

エキゾチックな感じもする曲で、プログレ・ポップと言ったら良いのだろうか?

深刻な感じに演奏するとプログレになりそうだが、ポップさもあるという、変な曲。

 

3. Burning With Optimism's Flame (A)⭐️⭐️⭐️⭐️

最初は掴みどころの無い様に感じたが、素直なメロディと変なメロディが交互に現れる、そのひねくれポップ感がクセになる曲。

 

4. Sgt. Rock (Is Going To Help Me) (A)⭐️⭐️⭐️

アルバムリリースより3ヶ月後の1980年12月5日にシングルリリースされている。UKチャート16位。

"Science Friction"や"This Is Pop?"といった初期のXTCっぽい曲調。

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5. Travels In Nihilon  (A)⭐️⭐️⭐️

7分近くに及ぶ呪術的な雰囲気の曲。

80年代キング・クリムゾンを彷彿とさせる。

タイトルはアラン・シリトーAlan Sillitoe、英国の小説家)の1971年の小説「ニヒロンへの旅(Travels In Nihilon)」から取っているらしいが、内容は関係ないのだそう。

 

 

以上、全11曲の集計結果は以下の通り。

 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️:3曲

 ⭐️⭐️⭐️⭐️:4曲

 ⭐️⭐️⭐️:4曲

 

ということで、なかなかに良い曲が揃っている。

特にSide1の1〜3曲目が最高だ。

 

 

アレンジはエレキギター2本、ベース、ドラムが基本。

ライヴでの演奏を前提にしたアレンジで、オーバーダブはライヴで演奏出来る場合に限るというルールを設けていたのだとか。

 

そしてソリッドな音作りは、アレンジとともにゲートリバーブ(当時はゲートエコーとも)を掛けたドラムに負うところも大きい。

 

ゲートリバーブとは、エンジニアのヒュー・パジャムピーター・ガブリエルの3枚目ソロアルバム(1980年5月)製作時に生み出したサウンドとされる。

 

ChatGPTに訊いてみると…

ゲートリバーブ(Gate Reverb)は、音楽制作や音響効果において使用されるリバーブの一種です。通常のリバーブが音の持続を自然に残すのに対し、ゲートリバーブはリバーブ音をある一定の時間で急にカットするエフェクトです。この効果により、音の後に生じるリバーブの尾が短くなり、クリーンでタイトな音が得られます。

 

1. 特徴と使い方のポイント

① 用途

ゲートリバーブは特にドラム(特にスネアドラム)でよく使用され、80年代のポップやロックミュージックで非常に人気がありました。
② エフェクトの仕組み

音が発生した後、リバーブがかかりますが、設定した閾値(Threshold)を下回るとリバーブ音が急にカットされます。この閾値とゲートの長さを調整することで、リバーブの持続時間やカットのタイミングをコントロールします。
③ 設定パラメータ
Threshold:ゲートが開く/閉じる音のレベル。これにより、どのくらいの音量までリバーブを残すかを決めます。
Release:リバーブ音がカットされるまでの時間。リリースタイムを短くするとリバーブが急にカットされ、長くすると徐々にフェードアウトします。

 

2. 使用例
①スネアドラム:スネアのアタック部分を強調しつつ、リバーブの尾を短くしてクリアなサウンドに。
②ボーカル:ボーカルに広がりを持たせながらも、他の楽器との混ざりを防ぐためにリバーブを制御。

 

ゲートリバーブは、音の空間を広げつつも、必要以上のリバーブを排除することで、音の明瞭さやクリアさを保つための強力なツールです。

 

 

そんな訳で、良い曲が並んでいるし、アレンジや音そのものもソリッドで、さすが名盤と言われ、最高傑作に推されるだけのことはあるアルバムだ。

 

 

そんな名盤と言われるアルバムなのだが、タイトルは当初「Work Under Pressure(プレッシャーの下での仕事:アンディの気持ちを表している)という案もあったとのこと。

マネージャーのイアン・リードがこれに反対し、最終的にアンディが当時患っていた閉所恐怖症をイメージするものとして「Black Seaブラック・シー」になったのだという。

 

どちらにしてもアンディの精神状態は良く無かった訳だが、そんな中でこれだけのアルバムに仕上がったのは、プレッシャーやストレスが結果的に良い方向に出たということなのだろう。

 

 

なお、初版盤のレコードは緑色のカバーでジャケットが覆われていた(私が中古で買った盤はカバーが失われていた)

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ということで、そんなアルバムが「ブラック・シー」。

 

確かに名盤だ。

最高傑作とする人がいるのも分かるな、と。

 

 

さて今回でXTCシリーズは一旦終了。

またの機会に…

 

 

 

 

(追記)

ふと思ったのだが、「ブラック・シー」はビートルズになぞらえて言えば音の感じが「リボルバー」っぽいな、と。

 

で、「イングリッシュ・セトルメント」は「ラバー・ソウル」っぽいな、と。

 

やっぱりDNAレベルでXTCビートルズを受け継いでいるよな、と。