前回に続き「レコード評議会」は「B-SELSで買ったレコード」シリーズとなります…
「ヘルプ!」のイタリア盤「Aiuto!」の購入を決めた後、シングル盤・EP盤コーナーを見ると、いつもながらの凄い品揃えだ。
英国、欧州、日本、米国、南米、アフリカ、アジア、中東、オセアニア… と世界一周できる品揃え。
その中で「ん?」と手が止まったのがこの盤。
Penny Lane / Strawberry Fields Forever
メキシコ盤(1979年再発盤)ステレオ
Capitol
EPEM-10189
SideA:EPEM-10189-1-4-X-79-V-G-
SideB:EPEM-10189-2 23-Ⅰ-79 AAM-
SideA
1. Penny Lane
2. Strawberry Fields Forever
SideB
1. Good Day Sunshine
2. I Want To Tell You
ストロベリーのメキシコ盤EP。
"Strawberry Fields Forever"と"Penny Lane"とのカップリングでリリースされたシングルに「リボルバー」からの2曲を組み合せたEPだ。
ストロベリーのEPと言えば、以前にB-SELSで買ったフランス盤とユーゴスラビア盤。
これらも「リボルバー」からの2曲"And Your Bird Can Sing"と"I'm Only Sleeping"を組み合せたものだ。
フランス盤(左)
ユーゴスラビア盤(右)
SideA
1. Strawberry Fields Forever
2. And Your Bird Can Sing
SideB
1. Penny Lane
2. I'm Only Sleeping
ところがこのメキシコ盤は「リボルバー」からの選曲ということは同じでも、"Good Day Sunshine"と"I Want To Tell You"を組み合せたものとなっている。
どちらにしても"Strawberry Fields Forever"と"Penny Lane"とのカップリングによるビートルズ最強シングルに、 全く色合いの違う「リボルバー」からの2曲を組み合せるという、「それってどうよ?」といった感じのEPだ。
そんなEPなのだが、その変な組み合せの収録曲に惹かれ、加えてペーパースリーヴのデザイン、そしてポップにある「メキシコ盤」「レア」というワードに惹かれてしまい、つい手に取ってしまった。
私「このストロベリーのメキシコ盤EP、相変わらず変な収録曲ですね(笑)。1979年の再発盤ということですけど、レアなんですか」
ご店主「もともとは1967年に発売されたEPで、その後再発されたものなのですが、レアはレアですよ」
私「ストベリーですし、とりあえず聴かせてもらえますか?」
ご店主「どうぞどうぞ、聴いてみてください。ペーパースリーヴはこんな感じです」
ペーパースリーヴは、UKオリジナル・シングルのデザインの上部に収録曲が書かれている。
裏面も同デザインをもとに"Good Day Sunshine"と"I Want To Tell You"が無理矢理に書き込まれている(←なかなか無茶なことをしている)。
さて、A面1曲目は"Penny Lane"。
で、2曲目は"Good Day Sunshine"かな…と思っていたら、"Strawberry Fields Forever"が鳴り出した。
私「あれっ? ええっ? A面にペニー・レインとストロベリーの両方とも入っているんだ??」
ご店主「そうですね(笑)。B面もかけますね」
B面は"Good Day Sunshine"と"I Want To Tell You"…
聴き終わって、レーベルを見せてもらうと…
A面:1. Penny Lane 2. Strawberry Fields Forever
B面:1. Good Day Sunshine 2. I Want To Tell You
私「てっきりペニー・レインとストロベリーがA面とB面にそれぞれ入っているものと思い込んでいました。ちょっと吃驚です。そう言えば、このEP盤って33回転ですか?45回転ですか?」
ご店主「45回転です。片面に2曲入っているので、シングル盤に比べると音圧はそこまで強くは無いですね」
私「でも、思ったよりも音は出ていますよ。これも買います」
ご店主「え? そうですか?」
私「ストロベリーですし、とりあえず買います」
ご店主「それはそれは、ありがとうございます」
と、家に帰って改めて聴いてみたところ、あれ?これってステレオではないか。
ストロベリーのシングルはモノラルだし、フランス盤EPとユーゴスラビア盤EPもモノラルなので、このメキシコ盤EPもてっきりモノラルと思い込んでいたら、ステレオだったのだ。
しかも、"Penny Lane"は擬似ステレオ。
で、"Strawberry Fields Forever"は通常のステレオとは違うUSキャピトル用にミックスされたステレオ(※)。
これってUSキャピトルのアルバム「マジカル・ミステリー・ツアー」のステレオ盤に収録されていたものと同じではないか。
※:Strawberry Fields Forever のステレオのミックス違いは以下の通り。
ボーカル:現行CDなどの通常バージョンやドイツ盤(同じ音源)では、ほとんどエコーがかかっていない。USキャピトル盤では、テイク7とテイク26との繋ぎ目の前まではエコーがはっきりとかかっている。このため、繋ぎ目の前後でボーカルの雰囲気がかなり変わる。
2度目と3度目の「Let me take you down...」の後のソードマンデル:通常バージョンやドイツ盤では、定位が右から左へ横切る。USキャピトル盤は定位が中央のまま。
その他:楽器の定位やフェードアウトのタイミングが違ったりしている。
そうか… メキシコ盤もキャピトルなので、同じ音源が使われていたという訳か…
なるほどねぇ。
「だから何?」という話ではあるのだが、ビートルズの各国盤は、こういうのが面白いのだ。
ところで、このストロベリーのメキシコ盤、1979年の再発盤ということなのだが、どこで分かるのだろう?
Discogsを見ると、1967年初盤、1970年再発盤、1983年再発盤しか掲載されていない。1979年再発盤は掲載されていないのだ。
ピクチャスリーヴにそれらしき表記は見当たらない。
レーベルにも1979年を表す記載はない。
一方で「1970」とあり、1970年再発盤の様にも見える。
そこで、デッドワックスを見てみると「79」の数字が入っている。
これがヒントなのだろうか?
SideA:EPEM-10189-1-4-X-79-V-G-
SideB:EPEM-10189-2 23-Ⅰ-79 AAM-
と思っていると、DiscogsにJose Espinosaというメキシコのマスタリング&カッティング・エンジニアに関する記載を見つけた。
Mexican mastering and lacquer cutting engineer, who worked for EMI Capitol De Mexico, S.A. De C.V..
He commonly signed his works with a date (dd-mm-yy) followed by his initials "JE". The month in the date was usually displayed in Roman numerals (example: 9-XI-82 = 9th of Nov. 1982).
で、このストロベリーのメキシコ盤のデッドワックスをこれに当てはめてみると…
A面「4-X-79」 1979年10月4日
B面「23-Ⅰ-79」 1979年1月23日
つまり、A面・B面ともに1979年にカッティングされたもの、つまりは1979年再発盤である、ということが分かる。
なるほどねぇ。
「だから何?」という話ではあるのだが、ビートルズの各国盤は、こういうのが面白いのだ。
ところで、A面のカッティング日(1979年10月4日)とB面のカッティング日(1979年1月23日)に9ヶ月もの間が空いているのは何故なのだろう?
謎が残る…
最後に、手元にあるストロベリーを紹介しておきます。
全部で14枚になりました。
UK盤(マト1/2、マザー・スタンパー2MM/7GDP)
US盤(独自カット、UKピクチャー)
オーストラリア盤(独自カット、UKピクチャー)
イタリア盤(独自カット、UKピクチャー)
スペイン盤(独自カット、独自ピクチャー)
デンマーク盤(UKマザー、マト2/2、独自ピクチャー)
デンマーク盤(UKマザー、マト2/2、UKピクチャー)
オランダ盤(独自カット、UKピクチャー)
ドイツ盤(独自カット、独自ピクチャー)
日本盤(独自カット、独自ピクチャー)
日本盤(1977年再発、ステレオ、独自カット、独自ピクチャー)
フランス盤(EP、独自カット、独自ピクチャー)
ユーゴスラビア盤(EP、独自カット、独自ピクチャー)
メキシコ盤(EP、1979年再発、ステレオ、独自カット、UKピクチャーをアレンジ)
赤字の盤がB-SELSで購入したストロベリーです。
ストロベリー・フィールズよ永遠に
(追記)
B-SELSの日記に紹介されました。
ご店主、ありがとうございます。
B-SELS、また行くべし…