B-SELSに行ってきた。
前回訪問したのは10月だったので、2ヶ月ぶりだ。
ということで、「レコード評議会」は今回から3回にわたって「B-SELSで買ったレコード」シリーズ:シーズン9となります。
私「年内に来れるとは思っていなかったのですが、偶々関西に用事がありまして」
ご店主「それはそれは、ようこそおいでくださいました」
LPの棚を左から順番に見ていく。
私「この前に置いてあったリボルバーのフランス盤は売れちゃいました?」
ご店主「あの盤はですね、KUNIさんがお買い上げになりました(笑)」
私「さすが!気になっていた盤だったんですけど、やはり売れてしまいましたか(笑)」
その他にも、前には置かれていた盤が無くなり、代わりに新しい盤が並んでいる。
よくもこんなにもどんどん出品が出来るものだなぁ、と改めて思う。
相変わらずの凄い品揃えだ。
そんな中から、気になって手に取ってみたのは「ラバー・ソウル」ステレオのUK盤とデンマーク盤。
UK盤は、初回マトのA面2/B面2。
マザー・スタンパーはかなり初期のものだ(あえてここでは書かないが、かなりの初期盤です)。
デンマーク盤は、UKマザーで同じく初回マトのA面2/B面2。
ご店主の手によるポップには「レア!デンマーク・ステレオ良盤 音の良い盤です。試聴を!」とある…
私「これ、気になります… ラバー・ソウルのステレオは、A面マト3のオランダ盤しか持っていないんです。マト2はどうなんでしょう」
ご店主「ではUK盤もデンマーク盤も是非聴いてみてください」
と、まずはUK盤のA面、続いてデンマーク盤のA面を試聴させていただいた。
私「さすがUKは初期の盤ならではの音ですね。一方、人口が少なくプレス枚数も少ないデンマークも良い音ですよ」
ご店主「デンマークの方がUKよりも全体的な盤質は良いですかね。A面最初に少しだけ傷が音に出ますけど」
私「ほとんど気にならない程度ですよ」
どちらも甲乙付け難く、それぞれ本当に良い音だ。
私「うーん、どちらも良いですね。どちらにしよう?デンマークのB面も聴かせてもらえますか?」
ご店主「どうぞどうぞ」
デンマーク盤のB面を聴く。間違い無い、良い音だ。
直球でUK盤とするか、変化球(?)でデンマーク盤にするか…
ここで頭をよぎるものがあった。
UK盤 vs オランダ盤、デンマーク盤 vs オランダ盤、どちらが面白いだろう…
UKオリジナル vs UKマザー、UKマザー vs UKマザー
本家 vs 分家、分家 vs 分家
私「UKマザー同士(分家同士)のデンマーク盤 vs オランダ盤ということで、デンマーク盤を買います。こちらのUK盤も凄く惹かれますが、デンマーク盤も凄く良い音ですし」
ご店主「ありがとうございます。気に入っていただいて何よりです」
私「ところで、マト2の後、直ぐにリカットされてマト3が作られたんですかね?」
ご店主「その様ですね。マト2もとても良い音なので、何故直ぐにリカットしてわざわざマト3を作ったのか不思議なんですよね」
私「うーむ、不思議ですね…」
ご店主「そうなんです、不思議ですね…」
…何でわざわざリカットしたのだろう?
ということで、B-SELSで買ったレコードの1枚目はこちら☟
Rubber Soul
デンマーク盤(1965年)ステレオ
Parlophone
PCS 3075
SideA:YEX 178-2
SideB:YEX 179-2
この「ラバー・ソウル」のステレオは、泣き別れミックスと呼ばれる、楽器やボーカルが完全に左右に振り分けられているミックス。基本的に、右チャンネルにはボーカルとリード楽器、左チャンネルにはリズム楽器が置かれている。
音のバランスという面では良く無いのだが、各楽器がはっきり聴こえるというメリットもある。
で、このデンマーク盤、B-SELSでの試聴でも十分にその音の良さは感じたが、家に帰って聴いて、改めて思った。やっぱり良い音だ。
デンマークの当時の人口は500万人弱とイギリスの10分の1も無く(イギリスは5,500万人)、プレス枚数の少なさが音の鮮度に繋がっているのだろう。
音の輪郭がしっかりとしていて、ベースなどの低音も良く出ている。
特に素晴らしいと思ったのは…
You Won't See Me
ポールのボーカル、ジョンとジョージのコーラスがとてもリアルだ。ポールによる気持ちの良いベースラインも動きがよく分かる。
Nowhere Man
ジョンのボーカル、ポールとジョージのコーラスの響きが素晴らしい。ギターソロのギラッとした響きも良い。
The Word
ベースラインがくっきりと聴こえ、そのカッコ良さに気付く。
I'm Looking Through You
音が良いので、細かく入っているハンドクラップがよく聴こえる。
In My Life
ジョンのボーカル、ポールのコーラスの響きが美しい。リンゴのドラムの派手さは無くとも多彩な手捌きが素晴らしい。
音が素晴らしいため、曲の良さを存分に感じることが出来る。新たに気付くこともある。
B-SELSのご店主とのビートルズ談義を含め、デンマーク盤、良い買い物をした…
ご店主ありがとうございました。
さて、B-SELSのご店主との会話にも出てきた通り、もともとこんな盤も持っている。
Rubber Soul
オランダ盤(1970年代初頭?)ステレオ
Parlophone
5C 062-04115
SideA:YEX 178-3 28 E1
SideB:YEX 179-2 35 E1
「ラバー・ソウル」ステレオのオランダ盤。
UKマザーで、マトはA面3/B面2。
A面のみリカットの3なのだが、Discogsを見る限り、オランダ盤は全てA面3/B面2のようだ。
で、この盤はジャケットの作りやレーベル面から1970年代初頭と思われるリプレス盤。
オランダの当時の人口は1,300万人とイギリスの4分の1程度であるためか、プレス枚数が多くはないのだろう、1970年代になっても当初からのUKマザーが使われ続けている。
デッドワックスには、A面に28、B面に35という数字を左右反転したものが刻まれているのだが、スタンパー・コードなのだろうか?
で、このオランダ盤、肝心の音はどうかと言うと…
これが高い鮮度が感じられ、デンマーク盤にも負けず劣らずの良い音だ。
で、これこそが肝心のマトによる違い、デンマーク盤のA面2とオランダ盤のA面3の違いはどうかと言うと…
うーむ、違いが分からない…
響きも音圧もほとんど同じで、違いが分からない…
もちろんビニール材質や盤質が違うので、全く一緒では無いのだが、例えば「レット・イット・ビー」の2Uと3Uの様な違いが感じられない。
B-SELSでのご店主との会話を思い出す。
私「ところで、マト2の後、直ぐにリカットされてマト3が作られたんですかね?」
ご店主「その様ですね。マト2もとても良い音なので、何故直ぐにリカットしてわざわざマト3を作ったのか不思議なんですよね」
私「うーむ、不思議ですね…」
ご店主「そうなんです、不思議ですね…」
…何でわざわざリカットしたのだろう?
「B-SELSで買ったレコード」シリーズ、次回に続きます…
(追記)
先の文章で「Discogsを見る限り、オランダ盤は全てA面3/B面2のようだ」と書いたのだが、B-SELSの超常連であるKUNIさんよりXを通じて以下の情報が入った。
オランダ盤にもA面2/B面2が存在したのだ。
Discogsにも掲載されていないほどなので、結構なレア盤なのではないだろうか…
(KUNIさん、貴重な情報ありがとうございます!)
そんなレア盤を数多く店頭に並べるB-SELS、なんて恐ろしいところだ…
そしてそんな盤を買うKUNIさんを始めとする超常連さん達、なんて恐ろしい人達だ…
以前にB-SELSはビートルズ・ファンにとってのパラダイス、ワンダーランドだと書いた。
だが、深く入り込むとそこは恐ろしい魔窟だ。
入り込んだら最後、もう抜けられない…
(追記)
B-SELSの日記に紹介されました。
恐縮です。ご店主、ありがとうございます。
B-SELS、また行こう!(もう抜けられない…)