今回の「レコード評議会」も前々回・前回からの続き。
前回こんなことを書いた。
"Heroes And Villains"の聴き比べをしてみた。
王道:モノラルのシングル盤をモノラル針で聴く
邪道:アルバム「スマイリー・スマイル」のステレオ盤(擬似ステレオ盤)をモノラル針でモノラル化して聴く
王道 vs 邪道、その結果は、ほとんど変わらない。
ということで、この盤でも聴き比べてみた。
Good Vibrations
ドイツ盤(1966年)モノラル
Capitol / EMI
K 23 328
SideA:CAP-45-55949-1
SideB:CAP-45-55557-1
A. Good Vibrations
B. Let's Go Away For Awhile
アルバム「スマイリー・スマイル:Smiley Smile」のB面1曲目である "Good Vibrations" のシングル盤。そのドイツ盤。
まずはこのシングル盤のデータを簡単に記しておくと…
アルバム「ペット・サウンズ:Pet Sounds」のセッション時からレコーディング開始も、ブライアン・ウィルソンの意向から同アルバムには収録されず。半年近く経った1966年10月にシングルとしてリリース。
なお、モノラル・ミックスしか作られておらず、モノラルのみでのリリース。
リリース日(US盤)
1966年5月16日:アルバム「ペット・サウンズ:Pet Sounds」
1966年10月10日: シングル "Good Vibrations"
1967年7月31日:シングル "Heroes And Villains:英雄と悪漢"
1967年9月11日:アルバム「スマイリー・スマイル:Smiley Smile」
US盤のピクチャースリーヴとレーベル
ドイツ盤のピクチャースリーヴとレーベル
全米ビルボードチャート1位、プラチナディスク認定(100万枚)、グラミー賞ノミネートと、大ヒット。
世界的にも大ヒットし、イギリスでもチャート1位を獲得。ちなみにドイツでも母国語で無いにも関わらず、8位と大健闘。
グループにとって最大級のヒット曲。
それのみならず、テルミンの使用とその特徴的な音色、チェロによる三連符、複雑なコーラスワークと、サウンドやアレンジが革新的で、ポップと前衛が高い次元で融合した彼らの代表曲の一つ。
ということで、"Good Vibrations"の聴き比べをしてみた。
前回同様、アルバム「スマイリー・スマイル」は、ステレオ盤(擬似ステレオ盤)をモノラル針でモノラル化して聴く、という邪道な聴き方。
テルミン、チェロ、コーラスワークと、聴きどころが多い曲なのだが、その結果は…
ドイツ・シングル盤
解像度の高い音といった印象。少し音が硬い感じがするものの、悪く無い。
アメリカでは無く、ヨーロッパの音といった感じだが、これはこれでアリ。
USアルバム盤(擬似ステレオ盤をモノラル針でモノラル化)
音に活力がある。音圧はドイツ盤よりも高い。
音の伸びが感じられ、響きが自然で良い。
音の鮮度もこちらの方が高い。
結論:ドイツ盤 < US盤(Winner)
さすが本家アメリカ、王道のUS盤だ。
聴き方は邪道だけど…
と言うか、そもそも擬似ステレオ盤は王道なのだろうか? いや、邪道だろう。
まあ、邪道ではありますが、音が良ければ全て良し。
ということで、「スマイリー・スマイル」のステレオ盤(擬似ステレオ盤)は、我が家ではモノラル盤として生きることとなるのであった(確定)。
THE END