前回の記事「ラバー・ソウル」UK・モノラル盤 マト5がB-SELSで紹介され、また過分な評価をいただきました。ご店主、ありがとうございます!恐縮です。
そして、またまたビートルズ学を深めるきっかけを与えていただき、感謝感謝です!大変勉強なりました(→それを踏まえて、前回記事に加筆しました)。
って、何の勉強?と我に帰ったりもするが、仕事に役に立たないこと(笑)を学ぶことは大切だ、と言うか、それこそが人生を豊かにすることだと思う。
その意味でもB-SELSは私にとって学校と言うか、道場の様なところだ。
…と、大袈裟な言い方になってしまったが、とにかくまあB-SELSはスゴイところだ。
何しろ、2025年5月6日の日記にある様に、品揃えがスゴイ。
結構なレア盤である「ラバー・ソウル」UK・モノラル盤 マト5を"GWに備えて、何枚か出品していた"って、どういうこと?
そんなお店はなかなか無いだろう。
ということで、「レコード評議会」と題していながら、ここのところビートルズばかり採り上げていて良いのだろうかと思いつつも、今回もビートルズ。
では、何を採り上げるのかというと、前回まで3回にわたって記事にしてきた「ラバー・ソウル」繋がりで…
Nowhere Man
オーストラリア盤(1966年)モノラル
Parlophone / EMI
GEPO 8952
SideA:7TCE 904-1 KT
SideB:7TCE 905-1 KT




SideA
1. Nowhere Man
2. Drive My Car
SideB
1. Michelle
2. You Won't See Me
「ラバー・ソウル」からの4曲によるEP「Nowhere Man(ひとりぼっちのあいつ)」のオーストラリア盤。UKマザーのモノラル盤である。
イギリスでは1966年7月8日にリリースされているEPなのだが、ここで、この頃のアルバムとシングルのリリース日を並べてみると…
1965.12.3 アルバム 「Rubber Soul (ラバー・ソウル)」
1966.6.10 シングル 「Paperback Writer」
1966.7.8. EP 「Nowhere Man」:アルバム「Rubber Soul」収録曲
1966.8.5 シングル 「Yellow Submarine / Eleanor Rigby」
1966.8.5 アルバム 「Revolver (リボルバー)」
つまり、このEP「Nowhere Man」のリリース日は…
「ラバー・ソウル」の7ヶ月後
「Paperback Writer」(「リボルバー」セッション時にレコーディングされたもの)の1ヶ月後
「Yellow Submarine / Eleanor Rigby」(「リボルバー」収録曲)および「リボルバー」の1ヶ月前
何とも時期はずれとも言うべきタイミングでのリリースである。
どういうことなのだろう?
そこで、イギリスにおける1962年のデビューから1966年までのシングル、EP、アルバムを発売日順に並べてみる。
〈1962年〉
1962.10.5 シングル 「Love Me Do」
〈1963年〉
1963.1.11 シングル 「Please Please Me」
1963.3.22 アルバム 「Please Please Me (プリーズ・プリーズ・ミー)」
1963.4.12 シングル 「From Me To You」
1963.6.12 EP 「Twist And Shout」:アルバム「Please Please Me」収録曲
1963.8.23 シングル 「She Loves You」
1963.9.6 EP 「The Beatles Hits」:過去シングル曲(A面3曲、B面1曲) ①
1963.11.1 EP 「The Beatles No.1」:アルバム「Please Please Me」収録曲 ②
1963.11.22 アルバム 「With The Beatles (ウィズ・ザ・ビートルズ)」
1963.11.29 シングル 「I Want To Hold Your Hand」
〈1964年〉
1964.2.7 EP 「All My Loving」:アルバム「With The Beatles」収録曲(2曲)および過去シングル曲(B面2曲) ②
1964.3.20 シングル 「Can't Buy Me Love」
1964.6.19 EP 「Long Tall Sally」:新曲(アルバム未収録曲)
1964.7.10 シングル 「A Hard Day's Night」
1964.7.10 アルバム 「A Hard Day's Night (ハード・デイズ・ナイト)」
1964.11.4 EP 「Extracts from the Film A Hard Day's Night」:アルバム「A Hard Day's Night」収録曲 ②
1964.11.6 EP 「Extracts from the Album A Hard Day's Night」:アルバム「A Hard Day's Night」収録曲 ②
1964.11.27 シングル 「I Feel Fine」
1964.12.4 アルバム 「Beatles For Sale (ビートルズ・フォー・セール)」
〈1965年〉
1965.4.6 EP 「Beatles For Sale」:アルバム「Beatles For Sale」収録曲 ②
1965.4.9 シングル 「Ticket to Ride」
1965.6.4 EP 「Beatles For Sale No.2」:アルバム「Beatles For Sale」収録曲 ②
1965.7.23 シングル 「Help!」
1965.8.6 アルバム 「Help! (ヘルプ!)」
1965.12.3 シングル 「Day Tripper / We Can Work It Out」
1965.12.3 アルバム 「Rubber Soul (ラバー・ソウル)」
1965.12.6 EP 「The Beatles' Million Sellers」:過去シングル曲 ①
〈1966年〉
1966.3.4 EP 「Yesterday」:アルバム「Help!」収録曲
1966.6.10 シングル 「Paperback Writer」
1966.7.8. EP 「Nowhere Man」:アルバム「Rubber Soul」収録曲 ①②
1966.8.5 シングル 「Yellow Submarine / Eleanor Rigby」
1966.8.5 アルバム 「Revolver (リボルバー)」
こうして並べてみると、こんなことが分かる。
ビートルズのUK盤EPは、過去シングルの寄せ集めまたはアルバムのダイジェスト盤である( 「Long Tall Sally」のみ新曲)。
そのほとんどが①または②のいずれかのタイミングでリリースされている。
①シングルまたはアルバムがリリースされた直後
②シングルまたはアルバムがリリースされる直前
つまり、UK盤EPは、シングルまたはアルバムのリリースに便乗して過去の作品を再利用して売るというEMIのマーケット戦略に基づいてリリースされているのだ。
このため、シングル「Paperback Writer」の1ヶ月後にEP「Nowhere Man」といった、何とも時期はずれなタイミングでのリリースとなるのである。
と、もっとらしく書き連ねてみたが、本当のところはどうだか知らない。
勝手な推量である。
さて、肝心の音はどうかと言うと…
45回転ならではの音の密度を感じさせる音であり、そして綺麗な音、といった感じだ。
「ラバー・ソウル」モノラル マト5の特徴である"美しく力強い音"の、"美しく"の部分に近い印象だ。
これでベースがブンブンと鳴ると、個人的にはより好みの音ではあるが、これはこれで悪く無い。良い音である。
ところで、このEPのカッティングを行ったのは誰だろう? まさかヘーゼル・ヤーウッド? それともやっぱりハリー・モス?
それにしても、同じ曲でも音は色々、レコードの面白いところだだなぁ、と。
最後に…
シングル「Paperback Writer」のプロモーション・フィルム(以下写真)は1966年5月20日にロンドン郊外のチジック・ハウス (Chiswick House) の庭園で撮影されたものである。

このEP「Nowhere Man」のジャケット写真、どう見ても同じフォト・セッション時のものである。

「Paperback Writer」用のフォト・セッションの写真が「Nowhere Man」のジャケットに使われていると言う訳だ…
とても良いジャケットだと思うが、ジャケットと中身の音がズレていると感じるのは私だけだろうか?