今回の「レコード評議会」は、つい最近買ったこのアルバムを採り上げようと思う。
前回採り上げたスタイル・カウンシルの「カフェ・ブリュ」を聴くうちに、これは是非レコードで聴きたいと思い、今更ながら買ったアルバムである。
Eden
Blanco Y Negro
BYN-2
SideA:R/S Alsdorf 240395-1 A timtom cbs
SideB:R/S Alsdorf 240395-1 B2 TY-CBS UK 66




SideA
1. Each And Every One
2. Bittersweet
3. Tender Blue
4. Another Bridge
5. The Spice Of Life
6. The Dustbowl
SideB
1. Crabwalk
2. Even So
3. Frost And Fire
4. Fascination
5. I Must Confess
6. Soft Touch
「カフェ・ブリュ」(1984年)に収録の"The Paris Match"はポール・ウェラーが演奏に参加しておらず、ボーカルをトレイシー・ソーンが、ギターをベン・ワットが務めている。
ポール・ウェラーが歌うシングル・バージョンも素晴らしいが、トレイシー・ソーンとベン・ワットによるアルバム・バージョンもそれに劣らず素晴らしい。
シャンソン風またはジャズ・ボーカル風といった佇まいで、まるでスタンダード・ソングの名曲の様な仕上がりとなっている。
自身のアルバムにも関わらず、自身は参加せずに「スタイル評議会」の「評議員」である2人を主役に据えた訳で、ポール・ウェラーはよほど彼らのセンスを気に入っていたのだろう。
そんな2人が1982年に結成したポップ・デュオがエヴリシング・バット・ザ・ガールである。
ということで、「カフェ・ブリュ」と同じ1984年にリリースされたエヴリシング・バット・ザ・ガールの1stアルバム「エデン」、これはレコードで聴きたい、と思い、今更ながら買った訳である。
内容はと言うと、ジャズやボサノヴァを取り入れた、良い意味で肩の力が抜けたアコースティックなサウンド。
当時の2人は22歳という若さなのだが、粋がったところが無く、全くの自然体で、よくもこれだけセンスの良い作品を作り上げられたものだと感心する。
シングルでもリリースされた"Each And Every One"を始め、どこを聴いても気持ち良く、ネオ・アコースティック(←日本独自の和製英語らしい、略称はネオ・アコ)の名盤と呼ばれるのも全くもって頷ける。
全て捨て曲無しで気持ち良い曲が並んでいるのだが、個人的に特に良いと思うのは…
A1. Each And Every One
(ベン・ワット:作曲、トレイシー・ソーン:作曲、ボーカル)
心地良いホーンも入ったボサノヴァ・ナンバー
シングル・リリースされ、UKチャート28位とヒットしている。
A2. Bittersweet
(トレイシー・ソーン:作曲、ボーカル)
クリア・トーンのギター・カッティングが気持ち良い、正にネオ・アコ
A3. Tender Blue
(ベン・ワット:作曲、ボーカル、トレイシー・ソーン:ボーカル)
夜のしじまを思わせるジャズ・ボーカル
"The Paris Match"に通じる雰囲気がある。と言うか、同曲がこのアルバムに収録されていても違和感が無い。
B1. Crabwalk
(ベン・ワット:作曲)
まるでブルーノート(4000番台)の様な2管編成のジャズ・ナンバー(インスト)
B4. Fascination
(トレイシー・ソーン:作曲、ボーカル)
ブラジリアン・フレーバーのジェントルなナンバー
B5. I Must Confess
(ベン・ワット:作曲、トレイシー・ソーン:ボーカル)
サウダージも感じさせるブラジリアン・ジャズ・ボーカル
特に… と言いながら、アルバムの半分を挙げてしまったが、それほど良い感じの曲が多いのだ。
確かに、名盤である。

ところで、"Everything But the Girl"というグループ名について、ベン・ワットは1993年のインタビューでこの様に語っている。
The name of the group was taken from a furniture shop in Hull, Turner's, and their slogan was 'Everything but the girl'. The idea was that they could sell you everything to make your home complete except the girl. Deeply corny. We never thought Everything But The Girl would stick around - if we had, maybe we would have chosen a better name.
グループ名はハルにあった家具屋ターナーズから取ったもので、その店の謳い文句が「Everything but the girl:女の子以外は全て」だったんだ。「家を完璧にするためのものは全て揃っています、女の子以外はね」と言う訳さ。かなりベタだね。グループがこんなにも続くとは思ってなかったよ。もし分かっていたら、もっと良い名前を選んでたと思うよ。
1982年グループ結成当時、2人はハル大学(イングランド東海岸の都市ハルに位置する国立大学)に通っており、ともに20歳だった。
確かに"Everything But the Girl"というグループ名は20歳の若さ故に付けた名前なのかも知れない。
だが、"Deeply corny"(かなりベタな、とてもクサい、ひどく陳腐な、といった意味)と言うほど酷い名前かな?
それを言ったら、ロックのグループ名なんて…
The Beatles:Beetle(カブトムシ)とBeatを掛けたもの
The Rolling Stones:マディ・ウォーターズの曲より
XTC: Ecstasyをもじったもの
Chicago:地名
Kansas:地名
Boston:地名
America:国名
Japan:国名
Asia:大陸名
The Rascals:ゴロツキども
The Animals:けだもの
The Kinks:ひねくれもの
The Who:誰?って誰だよ…
よく見ると、恥ずかしいものばかりである。
だが、売れて名が知れると、本来の言葉の意味は消え、純粋にグループ名としてのみ認識される。
なので、ある意味グループ名なんて何でも良いのかも知れない…と思った次第である。