前回からの流れで、モントルーと言えば頭に浮かぶのがこの歌詞。
We all came out to Montreux
On the Lake Geneva shoreline
To make records with a mobile
We didn’t have much time
But Frank Zappa and the Mothers
Were at the best place around
But some stupid with a flare gun
Burned the place to the ground
(ローリング・ストーンズの)モービル・ユニットでレコーディングするためだが、俺達には時間が無かった
なのに、フランク・ザッパ&マザーズが一番良い場所でライヴをしていた
でも、どこかの馬鹿がフレア・ガンを撃ったため当たり一面が全焼してしまった
ディープ・パープルの"Smoke On The Water"である。
1971年12月4日、モントルー・ジャズ・フェスティバルの会場でもあるモントルー・カジノでフランク・ザッパ率いるマザーズ・オブ・インヴェンションのライヴが行われていた。
ところが、観客の一人がフレア・ガン(照明弾や発煙弾などを発射する銃)を天井に向かって打ち込んだため、建物は全焼してしまった。
この光景を歌にしたのが"Smoke On The Water"というのは有名な話。
ということで、今回はディープ・パープルの「マシン・ヘッド」…としたいところだが、もう既に採り上げてしまっている。
2024年3月に採り上げた記事:UKマザーのイスラエル盤
☞ Machine Head / Deep Purple【イスラエル盤】
なので、今回の「レコード評議会」は…
Waka / Jawaka - Hot Rats
US盤(1972年)
Bizarre Records / Reprise Records
MS 2094
SideA:MS-2094 31456-1
SideB:MS 2094 31457-1






SideA
1. Big Swifty
SideB
1. Your Mouth
2. It Just Might Be A One-Shot Deal
3. Waka / Jawaka
鬼才 フランク・ザッパ(Frank Zappa)のソロ名義アルバム「ワカ / ジャワカ (Waka / Jawaka- Hot Rats)」。
1971年12月4日、モントルー・カジノでのザッパ&マザーズのライブ。
演奏中に観客の一人がフレア・ガンを天井に向かって打ち込み、建物は全焼。ザッパは全ての機材を失った。
1971年12月10日、ロンドンのレインボー・シアターでのザッパ&マザーズのライヴ。
演奏後に観客の一人が突然ステージに駆け上がり、ザッパを5メートル下のオーケストラピットに突き落とした(ザッパがガールフレンドに色目を使ったと思い込んでの犯行)。ザッパは頭部・脊椎・脚に重傷を負い、1年以上にわたる長期療養生活(車椅子生活)を余儀無くされた。
そんな災難が重なる中、ライヴが出来ないならスタジオ・ワークを追求すべし、として1972年に制作したのが本作「ワカ / ジャワカ」と次作「グランド・ワズー」である。
ちなみにタイトルからも分かる通り、本作「ワカ / ジャワカ:Waka / Jawaka - Hot Rats」は1969年のソロ名義アルバム「ホット・ラッツ:Hot Rats」の続編なのだと言う。
2024年7月に採り上げた記事
☞ Hot Rats / Frank Zappa【US盤、UK盤、ポルトガル盤】
主なメンバーは以下の通り。
フランク・ザッパ (Frank Zappa):ギター
エインズレー・ダンバー (Aynsley Dunbar):ドラム
アレックス・"エローニアス"・ドモホフスキー (Erroneous / Alex Dmochowski):ベース
サル・マルケス (Sal Marquez):トランペット、ボーカル(B2)
ジョージ・デューク (George Duke):キーボード(A1、B1)
ドン・プレストン (Don Preston):キーボード(B4)
その他、曲によってボーカル、ギター、トロンボーン、サックスなどが加わる。
各曲を簡単に説明すると…
A1. Big Swifty
17分を超えるインスト・ナンバー。ジャズ・ロック。見方を変えればプログレとも言える。
曲調が目紛しく変化するテーマから始まるが、途中からジョージ・デュークのエレピ、サル・マルケスのトランペット、ザッパのギターによるエキゾチックなインプロヴィゼーションが入り乱れて展開する。
B1. Your Mouth
普通にブルース・タッチの歌物。
浮気した嘘付き女に対して、ショットガンでぶっ飛ばしてやる、と歌う男の歌らしい。
B2. It Just Might Be A One-Shot Deal
ブルースと現代音楽とフュージョンをごった煮にした様な歌物。
ドラッグによるトリップ体験らしきものが描かれ、「一発でキマるかもね」と歌われる。中間部は気持ち良くトリップした表現なのか、ペダル・スティール・ギターによるウェストコースト・タッチのフュージョンがいきなり展開される。
ただ、ザッパはドラッグ嫌いなので、「一発で人生終わるかも知れないぜ」という皮肉なのだろう。
B3. Waka / Jawaka
11分を超えるインスト・ナンバー。ジャズ・ロック。ウェストコースト・タッチのフュージョンっぽいところもある。
ブラス隊が活躍するテーマが演奏された後、サル・マルケスのトランペット、ドン・プレストンのムーグ・シンセ、ザッパのギター、エインズレー・ダンバーのドラムと順次ソロが展開していく。
そして何より、エインズレー・ダンバーのドラムとアレックス・"エローニアス"・ドモホフスキー のベースが生み出す推進力が凄い。
ザッパのアルバムなので一風変わっているのはいつものことだが、「Hot Rats」の続編ということで全体的にジャズ・ロックやフュージョン・タッチであり、変態的ながらもカッコ良い音楽になっている。
特にタイトル曲"Waka / Jawaka"は、個人的に五指に入る推し曲である。

ところで Waka / Jawaka という言葉は何なのか?
呪文の様な響きを持つ言葉だが、固有の意味を持つ単語では無いのだと言う。
ザッパが音の感覚や響きから勝手に作った造語らしい。
音楽に合っている様な気もするし、何だかよく分からないが、鬼才 ザッパならではである。