B-SELSに行ってきた。
ここのところフランク・ザッパが続いており、このままだとザッパのまま年越しとなってしまう。
ハマるとハマってしまう中毒性のある音楽なので、この流れは断ち切らねば…
ならば、毒を以て毒を制すしかないと思い、B-SELSに行ってきた。

うーむ、いつもながら凄い品揃えである。
UK盤、US盤、日本盤は当然のこと、ドイツ盤、フランス盤、イタリア盤、スペイン盤、デンマーク盤、ノルウェー盤、スウェーデン盤、チェコスロバキア盤、オーストラリア盤、ニュージーランド盤、ブラジル盤、コロンビア盤、ペルー盤、ベネズエラ盤、南アフリカ盤、ケニア盤、南ローデシア盤、ジンバブエ盤…
書き切れないが、要は世界各国のビートルズのレコードが並んでいる。
大阪・関西万博は終わってしまったが、B-SELSの万博はまだまだ続く…
ということで、今回の「レコード評議会」は「B-SELSで買ったレコード」シリーズ:シーズン13となります。
The Beatles In Italy
イタリア盤(1965年)モノラル
Parlophon
PMCQ 31506
SideA:XX 9009 I 13.7.65
SideB:XX 9010 I 13.7.65





Parte Prima
1. Long Tall Sally
2. She's A Woman
3. Matchbox
4. From Me To You
5. I Want To Hold Your Hand
6. Ticket To Ride
Parte Seconda
1. This Boy
2. Slow Down
3. I Call Your Name
4. Thank You Girl
5. Yes It Is
6. I Feel Fine
1965年のイタリア独自編集盤「ビートルズ・イン・イタリー」。モノラル盤である。
イギリスにおいて1963年4月から1965年4月の間にリリースされたシングルとEPから選曲されている。
1963年4月シングル:From Me To You / Thank You Girl
(1963年8月シングル:She Loves You / I'll Get You 〜 この2曲は収録されていない)
1963年11月シングル:I Want To Hold Your Hand / This Boy
1964年6月EP:Long Tall Sally / I Call Your Name / Slow Down / Matchbox
1964年11月シングル:I Feel Fine / She's A Woman
1965年4月シングル:Ticket To Ride / Yes It Is
ご店主の手によるポップにはこうある。
超レア!イタリア・モノラル
1965. 2nd Black Lavel
初回ジャケ
オススメ!!
私「おお、これあったんですね。このイタリア独自編集盤、特に気になっていたものなんですよ。レッドがファースト・レーベル、ブラックがセカンド・レーベルなんでしたっけ?」
ご店主「そうです。このアルバムは1965年7月にリリースされたのですが、次のアルバム『ヘルプ!(イタリア盤:Aiuto!)』が9月リリースでブラックしか無いことからも分かる様に、ちょうどレーベルの色が切り替わった時期なんです。なので、レッドのプレス枚数は2,000枚程度しかないでしょうし、そもそもブラックも少なくレアですよ」
私「そうなんですね。ということは、音的にはほとんど同じですかね」
ご店主「同じ初回マトリクスですし、音的には全く違いはありません。音も良いですし、イタリアが好きになる音ですよ」
ということで、A面B面とアルバム丸々全て試聴させていただいた。
A1. Long Tall Sally
いきなりポールのシャウトの押し出しが凄い。音のキレも凄い。まるでライヴの様な迫力。
A2. She's A Woman
2曲目もライヴ感のある力強いポールのボーカル。バックビートのギターのキレ味が凄い。フォービートのベースも力強い。こんな良い曲だったっけ?
A3. Matchbox
ここでリンゴのボーカルという意外性が面白い。
A4. From Me To You
ようやくジョンの登場。ジョンとポールのツイン・ボーカルだが、ジョンが主役。今気付いたが、ここからはB面を含めてジョンが主役の曲が続く。
A5. I Want To Hold Your Hand
元気なFab4が聴ける。ハンドクラップも良い音。
A6. Ticket To Ride
ジョージのギラギラした12弦ギターとリンゴのヘビーなドラム。この曲の良さはアナログでなければ分からない。
B1. This Boy
ジョン、ポール、ジョージによる3声コーラスの響きが素晴らしい。これもアナログならでは。名曲だなぁ…
B2. Slow Down
ジョンのシャウトにシビれる。こういうロックンロールのカバーを歌わせたら右に出るもの無し。音の推進力が凄い。リンゴのフィルインもサイコー。
B3. I Call Your Name
ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスに提供された曲をセルフ・カバーしたもの。オリジナル・アルバム未収録なのであまり目立たないが、なかなかに良く出来た曲。
B4. Thank You Girl
これもシングルB面であまり目立たないが、結構好きな曲。リンゴのフィルインが楽しい。
B5. Yes It Is
ヴァイオリン奏法によるジョージのギターが聴こえて来た瞬間からもう名曲。ジョン、ポール、ジョージによる3声コーラスの響きが素晴らしい。アナログならではの素晴らしく良い音。空間が綺麗な響きで、これ以上無いほど良い音。
B6. I Feel Fine
冒頭のフィードバックからして良い感じ。リンゴの躍動感のあるドラムが素晴らしい。この曲を聴くと、ビートルズのセンスの良さを感じる。
私「これはスゴく良い音じゃないですか!音のキレが良いですし、ベースも音の輪郭もはっきりとしてよく鳴っていますし、これは良い音ですよ。これはいただきます!」
ご店主「ありがとうございます!」
私「確かにイタリアが好きになる音ですね」
私「1曲目から"Long Tall Sally"でバーンと凄い勢いの音がしますので、ライヴ盤と錯覚してしまいますね」
ご店主「そうそう、2曲目の"She's A Woman"もライヴっぽいですしね。このジャケット・デザインのせいで実際ライヴ盤と思って買った人もいたそうです」
私「このジャケットに『The Beatles In Italy』ですからねぇ、イタリアでのライヴ盤と思いますよ」

ちなみに、ジョンは1970年のローリング・ストーン誌のインタビューでこんなことを話している…
There's one in Italy apparently, that somebody recorded there
どうやらイタリアにはそれ(ビートルズのライヴ盤)があるらしい。誰かが録音していたんだな。
なお、ジャケットの写真はイタリア公演のものでは無く、1964年2月11日のワシントンD.C.公演らしい。
私「それにしてもこのアルバム、選曲がなかなかですね」
ご店主「シングルとEPからの選曲なんですけど、ベスト盤というのとはちょっと違いますね」
私「曲の時期が2年間にわたる編集盤にも関わらず、全体としてまとまりがあるのが不思議です」
私「編集盤は曲毎に音のばらつきがあったりすることが結構ありますけど、この盤は音質的にも揃っていますし、ホント良い音ですよ。そう言えば以前にこちらで買った『ヘルプ!』のイタリア盤(Aiuto!)も良い音でしたけど、音的に似てますね?」
ご店主「ええ、そう思います。カッティングした時期も近いです」
私「ということは、エンジニアも同じ人だったとか?」
ご店主「そう思います」
私「なるほど〜、この時期のイタリア盤は良い音なんだなぁ」
私「特に"Yes It Is"が良かったです。何と言ったら良いのか、とにかく良い音ですよ」
ご店主「そうそうこの音! この音で聴きたかった! という音ですよね」
私「そうそう、その通りです。正にこの音で聴きたかったという"Yes It Is"です。今まで聴いた"Yes It Is"の中で一番ですよ。この様な歌モノはイタリア人の歌心が音に出るんですかねぇ」
私「ところで"Slow Down"ですけど、こういう曲でのジョンはホント凄い」
ご店主「"Bad Boys"もサイコーです("Slow Down"も"Bad Boys"もラリー・ウィリアムズのカバー)」
私「そうそう、こういうロックンロールを歌わせたらジョンの右に出る者はいませんね」

私「そう言えば、裏ジャケットの左上、BEATLES 5° とありますけど、何なんですか?」
ご店主「これはイタリアでのアルバムの発売順で、5枚目ということですね」
私「なるほど、勉強になります」
1枚目:The Beatles(Please Please Me)
2枚目:I Favolosi Beatles(With The Beatles)
3枚目:Tutti Per Uno(A Hard Day’s Night)
4枚目:Beatles For Sale
5枚目:The Beatles In Italy
6枚目:Aiuto!(Help!)
私「いやはや、それにしても良い音です。おっしゃる通り、イタリアが好きになる音ですね」
ご店主「気に入っていただけて、良かったです」
私「ホント、心が躍る音です」
ということで、毒(B-SELS / ビートルズ)を以て毒(ザッパ)を制す。
ザッパ中毒から抜けて、すっかりビートルズ一色、と言うかビートルズ中毒に…
さすがB-SELS、猛毒である。
もう1枚買ったので、次回も「B-SELSで買ったレコード」シリーズ:シーズン13となります。
(おまけ)
本アルバムには「イギリス / 1963年8月シングル:She Loves You / I'll Get You」が収録されていない。
何故か?
そこでイタリアParlophonにおける発売状況を調べてみた。
まずはアルバム。
なお、イタリアでアルバムが発売されるのは、イギリスでの"She Loves You"の大ヒットを受けての1963年11月からである。
1963年11月:The Beatles(イギリス/1963年3月「Please Please Me」のイタリア盤)
1964年2月:I Favolosi Beatles(イギリス/1963年11月「With The Beatles」のイタリア盤)
1964年7月:Tutti Per Uno(「A Hard Day’s Night」のイタリア盤)
1964年12月:Beatles For Sale
1965年7月:The Beatles In Italy(本アルバム)
次にシングル(EPはリリースされていない)。
アルバムと同様、イタリアでシングルが発売されるのは、イギリスでの"She Loves You"の大ヒットを受けての1963年11月からである。このため、"From Me To You"と"Thank You Girl"は発売順が前後している。
赤字の8曲が本アルバムに収録された曲である。
1963年11月:Please Please Me / Ask Me Why
1963年11月:She Loves You / I’ll Get You
1964年1月:I Want To Hold Your Hand / P.S. I Love You
1964年1月:Twist And Shout / Misery
1964年3月:From Me To You / Devil In Her Heart
1964年5月:Can’t Buy Me Love / You Can’t Do That
1964年7月:A Hard Day’s Night / Things We Said Today
1964年7月:Thank You Girl / All My Loving
1964年9月:And I Love Her / If I Fell
1964年9月:I Should Have Known Better / Tell Me Why
1964年12月:No Reply / Baby’s In Black
1964年12月:Rock And Roll Music / I’ll Follow The Sun
1964年12月:I Feel Fine / Kansas City
1965年4月:Eight Days A Week / I’m A Loser
1965年4月:Ticket To Ride / Yes It Is
1965年7月:Long Tall Sally / She’s A Woman
(そう言えば、B-SELSにはこのうちの5〜6枚が壁に掛かっていました。)
一方、上記に無く、つまりイタリアでは未発表だったが、本アルバムに収録された曲が以下の青字の4曲である。
This Boy(イギリス / 1963年11月シングル"I Want To Hold Your Hand"のB面)
I Call Your Name / Slow Down / Matchbox(イギリス / 1964年6月EP「Long Tall Sally」の3曲)
以上を踏まえ、イタリアの視点で本アルバムを見てみると…
イタリアで1964年1月以降に発売されたシングルのうちアルバム未収録の曲を収録している。
イタリア未発表だった曲を収録している。
つまり、本アルバムは「イタリアにおいて1964年以降に発売された曲や未発表だった曲を対象としたアルバム」という訳だ。
であるならば、イタリアParlophonが「イタリア / 1963年11月シングル:She Loves You / I’ll Get You」を収録しなかった、ないしは出来なかったのは何故か?
推察①
イタリアでは曲数に応じて著作権使用料が掛かるため、アルバムは全12曲が標準だった。アルバム未収録曲&未発表曲を全て収録すると全14曲となってしまうため、最も先に発売されたこの2曲を除外した。
推察②
この2曲も収録したかったが、シングル発売後にテープを処分(ないしは紛失)してしまっていた。今更イギリス本社に改めてテープを送るよう依頼も出来ず、収録を断念した。
推察③
この2曲はアルバムに収録されているものと勘違いをしていた。気付いたのは発売後だった。
うーむ、真相は何なのだろう?
(追記)
B-SELSの日記で紹介いただきました。
こちらこそ楽しい時間でした。
ご店主、ありがとうございます!