2026年1月10日、グレイトフル・デッド(Grateful Dead)の創立メンバーであるボブ・ウィアー(Bob Weir)が亡くなったことを彼の遺族が公表しました。享年78歳。
グレイトフル・デッドは1965年にカリフォルニア州パロアルト(サンフランシスコ・ベイエリア南部のシリコンバレーに位置する都市)で結成され、サンフランシスコを拠点に活躍した伝説的なバンドです。
中心的存在だったジェリー・ガルシア(Jerry Garcia)が死去した1995年に解散しましたが、今なおデッドヘッズ(Dead Heads)と呼ばれるファンが数多く存在しています。
創立メンバーは以下の5人です。
ジェリー・ガルシア(Jerry Garcia、故人):ギター、ボーカル
ボブ・ウィアー(Bob Weir、故人):ギター、ボーカル
フィル・レッシュ(Phil Lesh、故人):ベース、ボーカル
ロン・"ピッグペン"・マッカーナン(Ron "Pigpen" McKernan、故人):キーボード、ハーモニカ、ボーカル
ビル・クルーツマン(Bill Kreutzmann):ドラム
後にメンバーの死去や脱退に伴い加入した6人。
ミッキー・ハート(Mickey Hart):ドラム
トム・コンスタンテン(Tom Constanten):キーボード
キース・ゴドショウ(Keith Godchaux、故人):キーボード
ドナ・ジーン・ゴドショウ(Donna Jean Godchaux、故人):ボーカル
ブレント・ミドランド(Brent Mydland、故人):キーボード、ボーカル
ヴィンス・ウェルニック(Vince Welnick、故人):キーボード、ボーカル
そして作詞家・詩人として曲作りに貢献した2人。
ロバート・ハンター(Robert Hunter、故人):作詞、詩人
ジョン・ペリー・バーロウ(John Perry Barlow、故人):作詞、詩人
以上総勢13人が公式ホームページに掲載されているグレイトフル・デッドのメンバーです。
そのほとんどが鬼籍に入っていますが(ちなみに20−30歳代で亡くなった方が3人)、また一人逝ってしまいました。
ということで、今回の「レコード評議会」はグレイトフル・デッドが一つの頂点を築いたアルバムを採り上げます。
Grateful Dead
American Beauty
US盤(1970年)
Warner Bros. Records
WS 1893
SideA:WS-1893 39804-A 1B [Artisan Logo] B8 S 1
SideB:WS-1893 S 39805-B 1B [Artisan Logo] A3




SideA
1. Box Of Rain
2. Friend Of The Devil
3. Sugar Magnolia
3. Operator
4. Candyman
SideB
1. Ripple
2. Brokedown Palace
3. Till The Morning Comes
4. Attics Of My Life
5. Truckin
1970年11月発表のスタジオ5作目となるアルバム「アメリカン・ビューティー」。
初期のサイケデリックでアシッドなサウンドから転換した前作「ワーキングマンズ・デッド:Workingman's Dead」と同じくフォークやカントリー色を取り入れた作品ですが、その路線が推し進められ、完成度もより高くなっています。
ビルボード・チャート最高30位。RIAA(アメリカレコード協会)から1974年ゴールド・ディスクに認定され、その後も1986年プラチナ・ディスク、2001年ダブルプラチナ・ディスクに認定されるなど、商業的にも大成功を収めたアルバムで、彼らの"最高傑作"という声もあります。
その後も素晴らしい作品を作り続けましたので、本作のみを"最高傑作"とするには抵抗がありますが、彼らが一つの頂点に達したアルバムであることに間違いはありません。
フォーク、カントリー、ブルーグラスといったアメリカン・トラディショナルな音作り、心地良いボーカル・ハーモニー、心に寄り添う、時に哲学的でもある歌詞…
素晴らしい曲が並んでいるアルバムです。
個人的に好きな曲は以下の通りです。
A1. Box Of Rain
作曲・歌:フィル・レッシュ、作詞:ロバート・ハンター
末期癌で近く亡くなるであろう父親に向けてフィル・レッシュが歌う、悲しくも優しい名曲です。
A3. Sugar Magnolia
作曲・歌:ボブ・ウィアー、作詞:ロバート・ハンター
自然への愛というマグノリアの花言葉の通り、明るくポジティブな曲で、ライヴでも定番になっています。
B1. Ripple
作曲・歌:ジェリー・ガルシア、作詞:ロバート・ハンター
アコースティック・ギターにゲスト・ミュージシャンのデヴィッド・グリスマン(David Grisman)によるマンドリンが絡む素朴で和やかな曲。「人にはそれぞれの道があるが、それは孤立したものでは無い。皆がつながっていて、さざ波に様に広がっていく」というデッドの精神を象徴する名曲です。
B5. Truckin
作曲:ジェリー・ガルシア、フィル・レッシュ、ボブ・ウィアー、作詞:ロバート・ハンター、歌:ボブ・ウィアー
シンプルに力強く前に進む曲。ツアーでの出来事を描きながら「良いことも悪いこともあったけど、流れに身を任せて気楽に進むだけ。後で振り返れば本当に色々あったけど、それでも俺たちはただ前に進み続けるだけさ」という正にデッドの精神そのものを表している、アンセムとも言える名曲です。
これら好きな曲の中でも一番となれば、やはり"Truckin"です。
Truckin′, got my chips cashed in
Keep truckin', like the doo-dah man
Together, more or less in line
Just keep truckin′ on
旅を続けるんだ、一旦ひと区切りついたけど
進み続けるんだ、ドゥー・ダー・マンみたいに
皆んなで一緒に、だいたい足並みをそろえて
ただただ旅を続けるんだ
Sometimes the light′s all shinin' on meOther times, I can barely see
Lately it occurs to me
What a long, strange trip it′s been
全てが明るく照らされる時もあれば
ほとんど見えない時もある
後になってふと気付いた
なんて長くておかしな旅だったのだろう
Truckin′, I'm a goin' homeWhoa, whoa, baby, back where I belong
Back home, sit down and patch my bones
And get back truckin′ on
旅を続けて、俺は家に帰る
ああ、やっと自分の居場所に帰って来た
家に戻って、ひと息ついたら
また旅に出て進み続けるんだ
補足:
ドゥー・ダー・マン(doo-dah man)とは、スティーブン・フォスターが作曲したミンストレル・ショー用の歌「草競馬(Camptown Races)」(←おそらく誰もが知っている有名な歌です)の歌詞に出てくる「Camptown ladies sing dis song, doo-dah! doo-dah! Camptown race-track five miles long, Oh, doo-dah day!」から来ていると思われます。「doo-dah」という言葉はただの掛け声で、特段の意味はありません。明確な目的が決まっていなくても流れに身を任せて気楽に進むのが「doo-dah man」ということなのでしょう。

グレイトフル・デッドは1995年に解散して以来、既に30年が経っています。
また、メンバーのほとんどが鬼籍に入っています。
それでも今なおデッドヘッズ(Dead Heads)と呼ばれるファンが数多く存在しています。
それは単なるファンでは無く、グレイトフル・デッドというカルチャーやコミュニティを共有する仲間といった方が良いのかも知れません。
ボブ・ウィアーが歌う"Truckin"はいつまでも歌い継がれていくでしょう。
そしてグレイトフル・デッドの精神はいつまでも受け継がれていくでしょう。
R.I.P.