第五次ビートルズ・マイブームが来ている。
(今回もビートルズネタです。この記事で連続7つ目…)
1ヶ月前に奈良のB-SELSに行ってからというもの、ビートルズばかり聴いている。
この時の記事はこちら☟
B-SELSのHP:B-SELS ビーセルズ
で、また行ってきました、B-SELS。
せっかく奈良に来たのだからということで、雨の降る中、薬師寺、唐招提寺、垂仁天皇陵と徒歩で巡り、その後B-SELSに到着。
B-SELS、奈良にあるビートルズのアナログレコード専門店だ。
店内の壁には超貴重盤が幾つも掛かっている。
ボックスにも他のレコード店ではまずお目に掛かれないような貴重盤が幾つも並んでいる。
B-SELS、ビートルズのアナログレコード好きにとって、楽園のような場所だ。
まずはご店主に挨拶してから、探索開始。
今回の目的は、1ヶ月前に買いそびれた「レット・イット・ビー」2U盤だったのだが、とりあえずということで、1stアルバムから順にボックスのレコードを掘る。
と、目に留まったのが「ハード・デイズ・ナイト」スウェーデン・モノラル盤。
UKマザーだし、これは音が良いのではないか?
ご店主にお願いして試聴させていただいたところ、思った通りキレのある新鮮な音だ。
加えて北欧のイメージに耳が影響を受けてなのか、音がきれいで音像もスッキリしているように感じる。
A面を全曲聴き終わると、ご店主が「このアルバムは、B面の方が何故か音が良いことが多いんですよ」と仰る。
で、試聴させていただくと、確かにB面の方がより新鮮な響きがする。ちょっとした驚き。
うーむ、こういうことは何枚も聴いた方でなければ分からない。ご店主、勉強になりました。
ということで、アルバムを丸々1枚試聴させていただき、これは買いだな、と。
そして、さらに掘っていくと…
スルーするにはあまりにも魅力的、いや蠱惑的な盤に出会ってしまった。
それが今回の「レコード評議会」で採り上げるこの盤。
Revolver
UK盤(1966年)モノラル
Parlophone
PMC 7009
Side One:XEX 605-2 1 P
Side Two:XEX 606-1 1 AP
「リボルバー」UKモノラル盤なのだが、ただのUKモノラル盤ではない。
Side One(A面)
マトリックス・ナンバー:2=最初期マト
マザー・ナンバー :1=1番
スタンパー・コード:P=6番
Side Two(B面)
マトリックス・ナンバー:1=回収マト
マザー・ナンバー :1=1番
スタンパー・コード:AP=36番
B面マト1って、回収マトではないか!
リリース直前にマト2に差し替え、回収しようとしたものの、一部が市場に流通してしまったというレア盤。
しかも、"Tomorrow Never Knows"が通常盤とは異なるミックスで収録されているという、ファン(マニア)にとってトップレベルの垂涎盤だ。
加えて、マザーは両面とも1番。
そして、スタンパーはA面がなんと6番!、B面も36番!
400番を超えるスタンパーもある中で、2桁前半でも充分に凄いのだが、6番とは…
こんなのがあるのか!?…と、手に取ったまま10秒くらい固まってしまった…
思わず、ご店主に「凄いのがあるんですね。B面の最後だけでも試聴させていただいていいですか?」とお願いすると、「どうぞどうぞ」
おお、これが噂のB面マト1、ミックス違いの "Tomorrow Never Knows"…
確かにSE(サウンドエフェクト)がところどころで違う。
レコードの音、しかも良い音で、感動もひとしおだ。
ついつい「すみません、A面も聴かせていただいていいですか?」とお願いすると、「どうぞどうぞ、是非聴いてください」
"Taxman"
冒頭、1234のカウントや咳払いからして、鮮度が極めて高く、生々しい。
ギターのキレが良いのはもちろんのこと、ベースの輪郭が極めて明確。
"Eleanor Rigby"
「少しジリジリ音がするんです」とのことだが、多少感じる程度で何ら問題無いレベル。
それよりもストリングスの響きの良さに感服。
"Here, There and Everywhere"
思っていた以上にギターとベースが力強く、しっかりとした音だったことに驚く。
「そうなんですよね。こういうバラードでもロックを感じるところがあるんですよ」とのご店主のお話に「本当そうですね」と激しく同意。
"Yellow Submarine"
中間部分の効果音やおしゃべり、ジョンの合いの手などが極めて生々しい。
「ジョンの声がこんなにもはっきりときれいに聴こえるんですね、驚きです」
こうなると、A面だけで終わることもできず、「B面も聴かせていただいていいですか?」「もちろんです。是非聴いてください」
"And Your Bird Can Sing"
ツインギターがカッコいい曲だが、ギラっとした響きでその良さが倍増。
"For No One"
美しい小品、佳曲なのだが、新鮮できれいな音ゆえに、曲の良さが際立つ。
最後だけ入るホルンの音も豊かな響き。
"Got to Get You Into My Life"
ブラスの響きにキレがあるとともに、力強さと厚みがある。
ステレオミックス、通常のモノラルミックスとも明らかに違うのは、
・冒頭にタンバリンが入っていない
・逆回転ギターソロの最後が入っていない
・It is knowingの部分でオルガンが入っている
・エンディングが長い(ピアノがより聴こえる)
といったところ。
音が乱舞する中、レズリースピーカーを通したジョンのぐるぐる回るようなボーカルが、正に「ダライ・ラマが山頂で歌っている」(※)ように響く。
※ ジョンがボーカルを「ダライ・ラマが山頂で歌っているような感じ」とか「数千人ものチベットの僧侶が経典を唱えているような感じ」にしてくれとジョージ・マーチンに要求したと言う。
A面、B面と丸々一枚聴いてしまった。
こんなのを聴いてしまったら、もう後戻りはできない…
表面に擦り傷が多いから値段も抑えているとのことだが、見た目はVGレベルながら、音そのものはEXレベル。
この素晴らしい音がこの値段で手に入ることなど、他では考えにくい。
しかも、B面マト1、1P、1AP…
この機会を逃したら、もう二度と手に入らないかも知れない…
買わないという選択肢があるのか?
買わずにいられようか?
「やっぱりこちらを買います」
ということで、先に選んでいた「ハード・デイズ・ナイト」スウェーデン盤、当初の目的だった「レット・イット・ビー」2U盤を予算の関係で断念し、「リボルバー」回収マト盤のみを購入することに決定。
「それにしても、ミックスの違い、各国盤の違い、マトによる違いなど、あれこれと聴き込んでしまうのって、ビートルズ以外に無いですよね」との私に対し、「ずっとビートルズを聴いていますけど、聴くたびに新しい発見があるんですよ」とご店主。
激しく同意しつつ、今から50年以上前の音楽なのに、今でも飽きることなくワクワクしながら聴ける、凄いことだ、そして不思議だ...
結局、2時間以上滞在、LPレコード丸々2枚視聴させていただき、非常に楽しい時間を過ごさせていただいた。
試聴して盤質や音をしっかり確認してから購入できるので、本当にありがたいことだ。
そして、ふと思った。
この楽園とも言えるB-SELSで過ごした楽しい時間も込みで、購入したレコードに付加価値が付いているのではないか…
モノ消費だけでなく、コト消費でもあるのだ、と…
「良いレコードを譲っていただき、ありがとうございました。また来ます」とB-SELSを後にした。
B-SELS、また行こう...
(追記)
家に帰って、自身のオーディオで聴いて、改めて感動。
"Taxman"のベースがこんなにも凄かったのかと吃驚。
(If you drive a car, car) I'll tax the street のところで、まるでスラッピング(チョッパー)のようなベースプレイをしていたとは!
音が鮮明、輪郭が明確ゆえに気が付いた。
さすが、1P。
"Tomorrow Never Knows"についてモノラル盤のマト1、2 (3)、ステレオ盤で聴き比べる。
こんなに違うのか!
しかも、マト1、音が大きめな気がする。少しラウドカット?
まだまだ、ビートルズ・マイブームは続く...
(追記その2)
B-SELSの日記に紹介されました。
いやあ、本当に良いお店だ。
また、行くべし。