前回からの流れで、今回の「レコード評議会」もクラシック音楽にしようと思い、面白いものはないかな?と手元のレコードを探してみた。
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また「幻想交響曲」というのも芸が無いし、ボストン交響楽団のレコードもあまり持っていないし…
と、思いながら見ていくと、シャルル・ミュンシュが指揮する、こんなレコードがあった。
Pines Of Rome
Fountains Of Rome
Charles Munch
New Philharmonia Orchestra
US盤(1967年)
London / Phase 4 Stereo Concert Series
SPC 21024
Side1:ZAL-7708-2L U KT 1
Side2:ZAL-7709-2L U KT 1
交響詩「ローマの松」
交響詩「ローマの噴水」
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
イタリアの作曲家、オットリーノ・レスピーギ(1879年〜1936年)による管弦楽曲。
「ローマの噴水」(1916年)、「ローマの松」(1924年)、「ローマの祭り」(1928年)の3曲を合わせてローマ三部作と呼ばれているが、そのうちの2曲がこのレコードに収められている。
交響詩「ローマの噴水」
第1部 夜明けのジュリアの谷の噴水
第2部 朝のトリトンの噴水
第3部 昼のトレヴィの噴水
第4部 黄昏のメディチ荘の噴水
交響詩「ローマの松」
第1部 ボルゲーゼ荘の松
第2部 カタコンブ付近の松
第3部 ジャニコロの松
第4部 アッピア街道の松
一般的には、さほど有名な曲では無い。
だが、聴き慣れると良くできた曲だなぁ、と思う。
オーケストレーションが素晴らしく巧みで、音がカラフル、色彩豊か。眼前に情景が浮かぶ。
オーケストラの魔術師と言われるのはラヴェルだが、それにも劣らないと思う。
そんな曲を最高の音で聴くことができるのが、このレコードだ。
レーベルはLondon。イギリスのDeccaが自社の音源をアメリカで販売するために設立したレーベルだ。
アメリカでは既に米Decca(英Deccaの子会社だったが、資本関係が無くなり別会社となった)が存在していたためにLondonという名前で設立されたのだが、ジャケットはアメリカ製の一方、レコードそのものはDeccaと同じイギリス製。実質的にDeccaと同じと言えるだろう。
で、ジャケットの左上を見ると、"Promotion Copy Not For Sale"との丸いシールが貼られている。プロモーション用にラジオ局などに送られたプロモ盤ということだ。
センターラベルにも"Promotion Copy Not For Sale"と印刷されている。
そして、デッドワックス(Dead Wax)を見ると…
Side1:ZAL-7708-2L U KT 1
Side2:ZAL-7709-2L U KT 1
その意味するところは…
ZAL-7708-2L / ZAL-7709-2L:マトリックス・ナンバーと呼ばれるレコードの製品番号。2LはGeorge Bettyes(Deccaのマスタリング&カッティング・エンジニア)が2回目にカッティングしたラッカー盤から製造されたものを意味する。1Lは無いようなので(失敗作として使用されず)、つまりは2Lが初回マトリックス。
1:マザー・ナンバー。1なので最初のメタルマザーから製造されたものを意味する。
U:BUCKINGHAMコードと呼ばれるDeccaのスタンパー・コード。Uなので2枚目のスタンパーから製造されたものを意味する。
KT:タックス・コード。
簡単に言うと、初回マトの最初期プレス盤ということだ。
これで音が良くない訳がない。
もともとDeccaは、特にPhase 4 Stereoは録音が優れていると定評がある。
Phase 4 Stereoというのは、Deccaが1961年に開発した当時の最新録音方式で「10ないしは20のマルチ・チャンネル・マイクで収音→ミキシングして4トラックのテープに収録→ミキシングして2トラックのステレオ・テープが完成」というもの。音の分離が良く、一つ一つの楽器が明瞭で、キレのある音がする。
約200枚のレコードがPhase 4 Stereoと名を打ってリリースされたのだそうだ。
そんなDeccaによるPhase 4 Stereoの初回マトの最初期プレス盤だ。これ以上は望めないだろう、という音がする。
鮮烈な音、煌びやかな音がスピーカーから流れてくる。スピーカーから出てきた各楽器の音がまるで動いているようにも感じる。
オーケストレーションの巧みさに加え、音が素晴らしいため、各曲の情景もリアルに伝わってくる。
"朝のトリトンの噴水"では水しぶきが見えるようだし、"アッピア街道の松"では目の前を通る古代ローマ軍の行進が見えるようだ。
いやはや、本当に素晴らしい音だ。
左:トリトン(トリトーネ)の噴水
右:トレヴィの噴水(泉)
左:ボルゲーゼ荘(ボルケーゼ公園)の松
右:アッピア街道の松
ところで、このレコードはUK盤?US盤?
センターラベルにはMade In Englandとある一方で、ジャケットにはLondon Recordsのニューヨークの住所が書いてある。
Londonはアメリカで発売されているので、US盤で良いのでしょうね。
(追記)
そう言えば、高校生の時、吹奏楽で「ローマの噴水」を演奏した。無茶苦茶難しかった。