レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Revolver / The Beatles【US盤(ステレオ)】

前回の「レコード評議会」で採り上げた「レット・イット・ビー」のUS盤を買う際に、併せてこんなUS盤も買ってしまった。

 

今までは「これって聴く価値あるかなぁ?これは要らないだろ」と思っていたものなのだが…

 

 

The Beatles

Revolver

US盤(Scranton Pressing)(1966年〜1968年?)

Capitol

ST 2576

Side1:ST-1-2576-A3 #2  IAM

Side2:ST 2-2576-A1  IAM


f:id:Custerdome:20231227230947j:image

f:id:Custerdome:20231227230941j:image

f:id:Custerdome:20231227231007j:image

f:id:Custerdome:20231227231012j:image

 

 

初期から中期に掛けてUS Capitolは、シングルとUKオリジナル・アルバムの曲を組み替えたりして、独自編集のアルバムを作っていた。

独自のタイトルを付けたもの(Something New、Beatles VI など)もあれば、UKオリジナル・アルバムと同じタイトルのもの(Help!、Rubber Soul など)もある。

いずれもUKオリジナル・アルバムと違った選曲で、その可笑しさ、面白さを楽しむことができる。中にはミックス違いもある。

 

ビートルズのメンバーはこのUS Capitolのやり方に対して怒っていたとのことだが、聴く方からすれば「この寄せ集めは無いだろ」とか「意外にこの流れはアリだな」とかあれこれ言いながら聴くのは楽しい。

第三次ビートルズ・マイブーム(2000年代初め)の時に海*盤CDで聴きまくったものだ。

ビートルズ・マイブームについてはこちらをご参照ください。今は第五次ブーム中です。

 

だが、唯一「これって聴く価値あるかなぁ?これは要らないだろ」と思っていたのが、この「リボルバー」のUS Capitol盤だ。

 

何故って?と言うと、収録曲を見れば分かる。

 

Side1

 1. Taxman

 2. Eleanor Rigby

     I'm Only Sleeping

 3. Love You To

 4. Here, There And Everywhere

 5. Yellow Submarine

 6. She Said She Said

Side2

 1. Good Day Sunshine

     And Your Bird Can Sing

 2. For No One

     Dr. Robert

 3. I Want To Tell You

 4. Got To Get You Into My Life

 5. Tomorrow Never Knows

 

UKオリジナル・アルバムと同名タイトルながら、"I'm Only Sleeping"、"And Your Bird Can Sing"、"Dr. Robert" の3曲がカットされた全11曲。

単に3曲がカットされただけで、曲順も変わらない。ミックス違いも無い。

 

ちなみにその3曲は「リボルバー」より先にリリースのアメリカ編集盤「エスタデイ・アンド・トゥデイ」に収録されるという、何とも無茶なことになっている。

 

ということで「これって聴く価値あるかなぁ?これは要らないだろ」と思っていた訳だ。

 

が、店頭に並んでいるのを見て思わず買ってしまった。

CDなら絶対に買わないだろうが、レコード故に「このUS Capitol盤、どんな音がするのだろう?」と思ってしまったのだ。

 

センターレーベルに"A SUBSIDIARY OF ..."との記載があるので、1966年では無く、1967年か1968年の盤らしいのだが、マトの番号は結構早めに見える。

 

「さあ、どうよ」と思いつつ針を下ろすと、スピーカーから出て来た音は良い意味で予想外の音だった。

 

"Taxman"が始まると、鋭くキレのあるギターの音が響き出した。ベースは輪郭がクッキリとしていて、粒立ちが良く、音圧も高い。まるでスラッピングのようなベースプレイもしっかりと聴こえる。

"Eleanor Rigby"の辛口な弦楽器も響きが良い。

次は本来"I'm Only Sleeping"のところ、"Love You To" に飛ぶが、違和感は無い。シタールの響きも良い感じだ。

"Here, There And Everywhere"の繊細なダブルトラックのボーカルも綺麗に響く。

"Yellow Submarine"は効果音が色々入っているが、鮮明かつリアルな音で聴いていて楽しい。

アシッド感・ドラッグ感の強い曲である"She Said She Said"だが、ハモンドオルガンの音と言い、その感じがよく出ている。

 

"Good Day Sunshine"はピアノとドラムが印象的な曲だが、新鮮な音。

次は本来"And Your Bird Can Sing"のところ、クラヴィコードが響き出し"For No One"に飛ぶ。これには強い違和感を覚えるが、膨らむようなホルンの響きも良く、音は素晴らしい。

"Dr. Robert"を飛ばして、"I Want To Tell You"のギターリフがフェードインしてくる。エンディングの民族音楽っぽいボーカルも良い感じだ。

"Got To Get You Into My Life"はブラスセクションのパンチの効いた音がカッコいい。ベースもタイトな音で鳴る。

アシッド、ドラッグ、サイケデリックの代表曲である"Tomorrow Never Knows"。鮮度の高い音で、カラフルな音が乱れ飛ぶ。ループするドラムも力強く、サイコーだ。

 

US Capitol盤は音がイマイチという思い込みがあったのだが、メチャメチャ良い音で吃驚。

音も新鮮だし、イギリスから送られたテープも良かったのだろう。

 

前回の記事でUS盤は当たり外れが大きいと書いたが、このレコードも「大当たり」だ。

 

UKオリジナル・アルバムから3曲カットされた「リボルバー」のUS Capitol盤、これはこれで良いじゃないか。

 

…ここでふと思ったのだが、何だがジョンの出番が少なくないか?

 

そう言えばカットされた3曲は全てジョンがボーカルを取る曲だ。

 

収録された11曲のボーカルは?と言えば…

ポール5曲

 Eleanor Rigby

 Here, There And Everywhere

 Good Day Sunshine

 For No One

 Got To Get You Into My Life

ジョージ3曲

 Taxman

 Love You To

 I Want To Tell You

リンゴ1曲

 Yellow Submarine

ジョン2曲

 She Said She Said

 Tomorrow Never Knows

 

ジョンの2曲はそれぞれA面とB面の最後に置かれたインパクトの強い曲なので気が付きにくいが、それにしても2曲は少ない。少な過ぎる。

 

ということで、この「リボルバー」のUS Capitol盤はやっぱり変なアルバムだ。

 

f:id:Custerdome:20231231173346j:image

 

 

とか何とか、あれこれ言いながら聴くのが面白い訳で、これからも「レコード評議会」にお付き合いください。