レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Beatles VI / The Beatles【US盤(ステレオ)】

大変恐縮だが、今回の「レコード評議会」も相変わらずビートルズ

 

記事の半分以上をビートルズが占めており、そろそろ違うジャンルにしようと思いつつ、US盤の可能性に惹かれて、また買ってしまったのがこれ…

 

 

The Beatles

Beatles VI

US盤(Scranton Pressing)(1965年)

Capitol

ST 2358

Side1:ST1-2358-B4 #4  IAM

Side2:ST2-2358-A1 #2  IAM


f:id:Custerdome:20240101224534j:image

f:id:Custerdome:20240101224537j:image

f:id:Custerdome:20231227234615j:image

f:id:Custerdome:20231227234619j:image

Side1

 1. Kansas City

 2. Eight Days A Week

 3. You Like Me Too Much

 4. Bad Boy

 5. I Don't Want To Spoil The Party

 6. Words Of Love

Side2

 1. What You're Doing

 2. Yes It Is

 3. Dizzy Miss Lizzie

 4. Tell Me What You See

 5. Every Little Thing

 

 

1965年6月にリリースのCapitolによるアメリカ編集盤「ビートルズ」。

 

ビートルズ・フォー・セール(1964年12月) から6曲、「ヘルプ!(1965年8月) から3曲、シングルB面1曲、未発表曲1曲による全11曲。

 

アルバム「ビートルズ・フォー・セール」より

 Kansas City

 Eight Days A Week

 I Don't Want To Spoil The Party

 Words Of Love

 What You're Doing

 Every Little Thing

アルバム「ヘルプ!」より

 You Like Me Too Much

 Dizzy Miss Lizzie

 Tell Me What You See

シングル(Ticket to Ride)B面

 Yes It Is

UK未発表曲(後に「オールディーズ」に収録)

 Bad Boy

 

UKオリジナル・アルバム「ヘルプ!」に先立って3曲を収録するという、相変わらず無茶なことをするCapitol(※1)

 

曲名もわざとなのかテキトーなのか…

"Dizzy Miss Lizzy"ではなく、"Dizzy Miss Lizzie"と表記されている(※2)

 

アルバム・タイトルも安直…

Capitolとして6枚目のアルバムということで、タイトルは「ビートルズ(※3)

 

ジャケットの作りも雑…

f:id:Custerdome:20240101181848j:image

 右側に寄り過ぎているため、文字が欠けてしまっている…

  RINGO    YES IT IS    WHAT YOU'RE DOING

  RECORDED IN ENGLAN

 

だが、名曲"Yes It Is"をアルバムで聴けるし、前回記事の「ラバー・ソウル」はやや残念な音ではあったが、前々回の「リボルバー」のように「大当たり」があるかも知れない、と期待をして買ってしまった…

 

大いに期待をして「さあ、どうよ?」と思いながら、レコードに針を下ろすと…

 

うーん、どうなんでしょう…

 

鮮度が高い、キレが良い、輪郭がハッキリしている、音圧が高い、響きが良い、低音の鳴りが良い、音の膨らみが良い、音が活き活きしている…などといった良い音を表現する言葉が出てこない。

 

雑味があってざっくりした感じだし、ベースの焦点も甘く、お世辞にも良い音とは言い難い。

しかも"Yes It Is"は過剰にエコーが掛かった擬似ステレオ

 

うーん、「当たり」とは行かなかったか…

と言うか、もともとUS Capitol盤に対する印象通りの音ではあるのだが…

 

だが、当時のアメリカではこのレコードをビートルズの新作として聴いていたのだ。

そう思って聴いてみると、なかなかに感慨深いものがある。

 

それと、寄せ集めの編集盤のため、聴いていてバラバラな印象があるかな?と思っていたが、それほど違和感は無い。

フォー・セール」と「ヘルプ!」とは音の傾向も似ているので、意外とまとまりがある。

 

ということで、音については「当たり」とは言えないものの、当時のアメリカにおけるビートルズの音を知るという観点からすれば意味はあったということで良しとしよう。

 

 

ここでふと、こんなことを思ってしまった。

 

アメリカはプレス枚数が相当多いため、音がへたっている盤が多いのではないか?

スタンパーが若い盤は音が良いのではないか?

この盤はScrantonプレスだが、別の工場でプレスされたものは音が良いのではないか

   米国Capitolのレコードプレス工場

 

まあ、でも"Yes It Is"が擬似ステレオであることに変わりはないし…

 

ん?それならモノラル盤ならどうなのだろう?もしかするとモノラル盤は音が良いのではないか?

 

そうだ、Capitolカーブで再生すると良い音で鳴るのではないか?

 

 

いやいや、だからこんなことしていたらエライことになる、って前回も言っていただろうに…

アメリカ編集盤US盤でこんなに悩むのはやめよう…

やめよう…

 

 

 

※1:"Dizzy Miss Lizzy"と"Bad Boy"はラリー・ウィリアムズのカバーだが、「ザ・ビートルズ・レコーディング・セッションズ」(マーク・ルーイスン著)によれば、2曲とも1965年5月10日にレコーディングされ、同日モノラルとステレオにミキシング、翌日にはアメリカにテープが送られたのだと言う。その意味では「ビートルズ」用のレコーディングと言える。Capitolが新曲を送れとうるさいので、デビュー前から演奏し慣れていたカバー曲を一発でレコーディングして「キャピトルにはこれでも送っておけ!」(by ジョン) ってな感じだったのかも知れないが…

 

※2:原曲の表記も"Dizzy Miss Lizzy"であり、"Dizzy Miss Lizzie"はスペルミスなのだろう。なお、ラリー・ウィリアムズによる原曲は1958年にシングルでリリースされているが、カップリング曲はSlow Down"。

 

※3:Capitolによる「ビートルズ」までのアルバムは以下の通り。④「The Beatles' Story:ビートルズ物語」はインタビューなどを収録したものなので(楽曲も収録されているが抜粋のみ)、これをカウントせずに6番目のアルバムとして「Beatlesビートルズ」としたのだろう。①は良いとして、どれも安直なタイトルに思える…

  ① Meet The Beatles!

  ② The Beatles' Second Album

  ③ Something New

  ④ The Beatles' Story

  ⑤ Beatles '65

  ⑥ The Early Beatles

  ⑦ Beatles VI