レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Introducing... The Beatles / The Beatles【US盤(モノラル)】

こんなのまで手を伸ばしていたらキリがないと思いつつ、毒を食らわば皿まで(?)、とついつい買ってしまったので、今回の「レコード評議会」もビートルズ

 

ということで、ビートルズUS盤シリーズ(…?)は「レット・イット・ビー」「リボルバー」「ラバー・ソウル」「ビートルズ」と時代を遡ってきた訳だが、一気に最初まで遡る。

 

 

The Beatles

Introducing... The Beatles

US盤(1964年)モノラル

Vee Jay Records

VJLP 1062

Side1:63-3402-1  2-6-64  URJ

Side2:63-3403-1  2-6-64  URJ


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Side1

 1. I Saw Her Standing There

 2. Misery

 3. Anna (Go To Him)

 4. Chains

 5. Boys

 6. Ask Me Why

Side2

 1. Please Please Me

 2. Baby It's You

 3. Do You Want To Know A Secret

 4. A Taste Of Honey

 5. There's A Place

 6. Twist And Shout

アメリカでのデビュー・アルバム「イントロデューシング・ザ・ビートルズ」の第2版盤

 

もともと1963年7月に発売されたのだが、一部収録曲が差し替えられて1964年2月に再発売されたものだ。

 

レコード会社は、Capitolでは無く、シカゴのマイナーレーベルVee Jay Records

マイナーレーベル故に販売力が無く、当初はさほど売れなかったらしい。が、大手のCapitolが1964年1月に発売した「ミート・ザ・ビートルズ」が大ヒット。それにあやかって同年2月に一部曲を差し替えて再発売したところ、大ヒットしたということだ。

 

イギリスでのデビュー・アルバムの「プリーズ・プリーズ・ミー(全14曲)から"Please Please Me"と"Ask Me Why"の2曲を外したものが初版盤。

 

"Love Me Do"と"P.S. I Love You"を外して、"Please Please Me"と"Ask Me Why"を収録したものが第2版盤だ。

個人的には"Please Please Me"が入っている第2版盤の方が圧倒的に好み。

 

そもそもUK盤と同じく14曲で発売すれば良いのに…と思うのだが、当時のアメリカでは税金関係もあり、11〜12曲が標準だったのだ。

当時のアメリカでは収録曲が12曲以上になると、物品税が増額されていたらしい。

 

さて、そんなアメリカ・デビュー作なのだが、肝心の音はどうかと言うと…

 

A面1曲目の"I Saw Her Standing There"に針を下ろすと、いきなり"Four! "から始まる(実際には"Faar! "と聴こえる)。本来は"One Two Three Four!"なのに最初が欠けている。

 

いい加減だな、Vee Jay 

 

だが、聴き進めると…

ん?音は悪くないじゃないか… と言うか、かなり良いんじゃないの。

 

モノラルなので当然真ん中から音が出てくるのだが、中音域の響きが良いのか、正面ど真ん中からボーカルがモリッとした感じで前に出て来る。

ベースも輪郭がはっきりとしていて、闊達な動きがよく分かる(歌いながらよくこんなにベースが弾けるな、ポールはホント上手い)

ギターとドラムのキレも良い(リンゴはよく歌うドラマーだな、と改めて思った)

 

B面についても、"Please Please Me"や"Twist And Shout"などの大好きな曲が元気良く鳴る。

 

プリーズ・プリーズ・ミーUK盤もスタンパー3桁ながら持っており、さすが王道の音ということで良い音で鳴るが、それと比べても全く遜色が無い。

UK盤はコンプの効いた力強い音だが、こちらの盤は自然な音ながら抜けの良い、活気のある音といった感じだ。

 

さすがマイナーレーベルながらシカゴでブルースやR&Bを手掛けてきたレコード会社による仕事だ。と言うか、マイナーレーベルだからこその丁寧な仕事なのかも知れない。

 

良いじゃないか、Vee Jay

 

と、改めてジャケットを見てみると、何となく違和感が…

 

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ジョンとリンゴの右手に腕時計が?

これって写真が裏焼きになっているってこと?

…髪の分け方からすると、裏焼きですね。

 

左右反転したのがこれ☟

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いい加減だな、Vee Jay 

 

とまあ、良いのか、いい加減なのか、よく分からんが、こういうのは嫌いじゃない。

 

何にせよ、音が良ければ全て良し。

ということで、「イントロデューシング・ザ・ビートルズ」は「大当たり」。

 

良いじゃないか、Vee Jay ! !

 

 

 

だがしかし、Vee Jayはその後資金繰りに窮して、1966年8月に倒産してしまうのであった。

 

(8月11日)キリスト発言に対して、ジョンが釈明会見。

(8月29日)サンフランシスコ・キャンドルスティック・パークを最後にビートルズはコンサート活動を終了。

そんな中で、アメリカでのデビューに一役買ったVee Jayは倒産したのだった。

 

ビートルズの想定外の売れ行きに、気が大きくなって経営がゆるくなっていたところ、キリスト発言に端を発してレコード不買運動が起こったため、一気に資金繰りが悪化、Vee Jayは倒産したのだった(←全くもって勝手な想像です)。