前回の「レコード評議会」ではデオダートの「ツァラトゥストラはかく語りき(原題:Prelude)」採り上げたが、彼のアルバムはもう一枚持っている。
「ラプソディー・イン・ブルー(原題:Deodato 2)」も有名だが、それでは無い。
収録曲を見て「こんな曲も演っているのか?」ということで興味を惹かれた、このアルバムだ。
First Cuckoo
US盤(1975年)
MCA Records
MCA-491
Side1:MCA 806 W2 B.D.I. ◈-P-◈
Side2:MCA 807 W2 B.D.I. ◈-P-◈
Side1
1. Funk Yourself
2. Black Dog
3. Crabwalk
4. Adam's Hotel
Side2
1. Caravan / Watusi Strut
2. Speak Low
3. First Cuckoo (On Hearing The First Cuckoo In Spring)
デオダートの「ファースト・クックー」。
収録曲を簡単に紹介すると…
Funk Yourself
デオダートのオリジナル。ラテン・タッチのファンク・ナンバー。
Black Dog
レッド・ツェッペリンのカバー。コンガ入り。
Crabwalk
デオダートのオリジナル。ストリングス入りのメロウ・ナンバー。
Adam's Hotel
マルコス・ヴァーリのカバー。シンプルなアレンジのメロウ・ナンバー。
Caravan / Watusi Strut
デューク・エリントンのカバーとデオダートのオリジナルのメドレー。パーカッションが活躍するラテン・ナンバーにアレンジ。
Speak Low
クルト・ワイルが作曲したジャズ・スタンダード(元々はミュージカル「ヴィーナスの接吻」の挿入曲)。メロウ・フュージョンにアレンジ。
First Cuckoo (On Hearing The First Cuckoo In Spring)
(春初めてのカッコウの声を聴いて)
フレデリック・ディーリアス(イギリスの作曲家)が作曲した音詩。映画音楽風。
どの収録曲を見て「こんな曲も演っているのか?」と興味を惹かれたのかと言うと、もうお分かりかと思う。
そう、あまりに異色の選曲であるレッド・ツェッペリンの"Black Dog"だ。
レッド・ツェッペリン(略称はゼップ、最近では英語読みのゼペリンとも表記される)が1971年にリリースした4枚目アルバムの冒頭を飾るハード・ロック・ナンバー。
ズレていくような変則的リズムによるリフがカッコ良い曲だ。
そしてこの"Black Dog"を演奏するのは…
エレピ:エウミール・デオダート
ギター:エリオット・ランドール、ジョン・トロペイ
ベース:ウィル・リー
コンガ:ルーベンス・バッシーニ
ドラム:スティーヴ・ガッド
サックス:ルー・マリーニ
様々な興味が湧いて来る。
スティーヴ・ガッドはどんなドラムを?
ウィル・リーはどんなベースを?
ジョン・トロペイはどんなギターを?
エリオット・ランドールはどんなギターを?
そもそもあの変則的なリフをどうアレンジする?
コンガ入りだし、ブラジル風のゼップ?
エレピ入りだし、フュージョン風のゼップ?
期待をして聴いてみた。
…が、ブラジル風でも無く、フュージョン風でも無く、普通にハード・ロック調。と言うか、ほとんどスーパーロック(スーパーマーケットに流れるBGM)。
正直言って、肩透かしもいいところ。
これって、コピーする意味ある??
しかも、これだけの凄腕ミュージシャンが揃っているのに何だか演奏に気持ちが入っていないと言うか、おざなりな感じがする。
はっきり言って、イマイチ…(←あくまでも個人的感想ですのでご了承ください)。
だが、この"Black Dog"を除けば、その他は悪くない。
特に、マルコス・ヴァーリのカバー"Adam's Hotel"とジャス・スタンダードの"Speak Low"はなかなか良い感じだ。
"Adam's Hotel"は美しいエレピの響きによるメロウなアレンジで、マルコス・ヴァーリのメロディ・メイカーとしての才能を堪能出来る。
"Speak Low"もメロウなアレンジで、曲の新しい魅力を感じることが出来る。
そして肝心の音そのものも、エレピのメロウな響きが気持ち良く、またラテン・タッチの曲もベースやドラムの鳴りが良く、全体としてはなかなか良いアルバムだ。
ただ、このジャケット・センスはよく分からない…