レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Untitled / Led Zeppelin【US盤】

前回記事の"Black Dog"繋がりから、今回の「レコード評議会」はこれを採り上げよう。

 

やっぱり彼らの曲は彼ら自身の演奏でなければ成り立たない。

 

 

Led Zeppelin

Untitled

US盤(Monarch Pressing)(1971年)

Atlantic

SD 7208

Side One:(ST-A-712285-MO)

 ST-A-712285-DD  AT/GP  MR  △16345 (2)  PR  PECKO

Side Two:(ST-A-712286-MO)

 ST-A-712286-FF  PECKO DUCK  AT/GP  MR  △16345-X  (13)  PR


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Side One

 1. Black Dog

 2. Rock And Roll

 3. The Battle Of Evermore

 4. Stairway To Heaven

Side Two

 1. Misty Mountain Hop

 2. Four Sticks

 3. Going To California

 4. When The Levee Breaks

 

 

レッド・ツェッペリンの4枚目アルバム「レッド・ツェッペリン」。

 

ジャケットに文字が何も書かれていない。タイトルはおろか、バンド名も書かれていない。

なので本当は 無題 (Untitledなのだが、4枚目のアルバムということで「レッド・ツェッペリン」と呼ばれている。

その他、メンバー4人のシンボルが描かれているため「フォー・シンボルズ (Four Symbols)」、一番左のシンボルの形状から「ZOSO」などとも呼ばれている。

 

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RIAA米国レコード協会が公表しているアルバム累計販売枚数(レコードだけで無くCDも含めた累計販売枚数)2,400万枚と、歴代5位にランクされているモンスター・アルバムだ。

 

あまりに有名なアルバムなので、一般的なことはここでは書かない。

各曲について、個人的に思うところをあれこれと書かせてもらうと…

 

Black Dog

ボンゾジョン・ボーナムの愛称)のヘビーななドラムをバックに半拍ずつズレていく変則的なリフのハード・ロック・ナンバー。ギターで弾くこと自体は難しくないが、ドラムのリズムをバックに合わせるとなると、途端に難しくなるという、摩訶不思議なリフだ。やっぱりこの曲はゼップの演奏だからこそ、曲が成り立たっている。

 

Rock And Roll

3コードのロックンロール・ナンバー。冒頭のドラムはリトル・リチャードの"Keep A Knockin'"をドラムで叩いたものなのだとか。変拍子のように聴こえるが、3拍目の裏から入っているためで、実際は4/4拍子。

ネットでは、"Johnny B. Goode"のイントロをドラムで演奏するとこうなる、とある。なるほど、と納得。但し、このアルバムの演奏は1拍の頭から入るものとして脳の認識が固定されてしまっているので、やっぱり変拍子に聞こえてしまう…

 

The Battle Of Evermore限りなき戦い

ケルト音楽からの影響を感じさせる曲。ロバート・プラント(愛称:パーシー)とサンディ・デニー(フェアポート・コンヴェンションの元シンガー)のボーカルが素晴らしい。声質が似ているため、兄妹で歌っているようだ。マンドリンを使ったアレンジも素晴らしく、ゼップの音楽性の幅広さ感じることが出来る。

 

Stairway To Heaven天国への階段

言わずと知れた超有名曲。カラヤンも絶賛したらしい(私がオーケストラで演奏するとしてもこれ以上のアレンジはない名曲だ、と評価したらしい。但し出典は不明)。鬼才フランク・ザッパもレゲエ調でカバーしている(本気なのかおふざけなのか不明)。一時期ギター・ショップには「No Stairway To Heaven(天国への階段は演奏禁止)」と壁に貼られていたらしい。

思ったのだが、静かに始まり、ギターソロを挟んでハードになって、最後は静かに終わる、この展開は"Bohemian Rhapsody"にも受け継がれている?

 

Misty Mountain Hop

キーボードとギターによるとぼけた感じのリフと棒読みのようなボーカルが妙にグルーヴ感を生み出しているミドル・テンポのロック・ナンバー。この曲のリフも冒頭は変拍子?半拍字余り?と思ったら、4拍目の裏から入っているためで、普通に4/4拍子。

但し、この曲も1拍の頭から入るものとして脳の認識が固定されてしまっているので、やっぱり変拍子に聞こえてしまう…

 

Four Sticks

5拍子と6拍子が入り混じった変拍子のリフがエキゾチック(中近東風)な雰囲気の曲。聴きようによってはプログレ。曲目は、ボンゾが片手に二本ずつ、計四本のスティックを持って演奏したことに由来するのだとか。

 

Going To California

ジョニ・ミッチェルから影響を受けたというフォークソング風の曲。ギターも変則チューニングだし、確かにジョニ・ミッチェルっぽい。ヘビーでクセが強い曲が多い中、ほっと一息付ける比較的素直な曲。

 

When The Levee Breaks

カンザス・ジョーとメンフィス・ミニーによるブルースのカバー。ボンゾのドラムが素晴らしく、シンプルながらヘビーなグルーヴは唯一無二。革新的なドラミングだとか、ロック・ドラムを確立したとか、様々な言葉で賞賛されるボンゾの凄さを堪能出来る。音響も素晴らしく「究極のドラムサウンド」と言われているらしいが、とにかくこの曲はボンゾのドラム抜きには語れない。

 

 

レッド・ツェッペリンは一般的にハード・ロック・バンドと認識されているが、このアルバムにはハード・ロックプログレッシブ・ロックフォーク・ロックケルティック・ミュージックなど、様々な音楽が入り混じっている。それでいて、アルバムとしての統一感もある。

改めてじっくりと聴いてみて、良く出来たアルバムだと思う。

 

 

さてこの盤だが、デッドワックスを見てみると…

 

A面・B面ともにAT/GPとの刻印があるが、これはGeorge Piros(有名なエンジニア)がカッティングしたことを意味している。

 

A面にPECKO、B面にPECKO DUCKとの刻印があるが、これはGeorge Peckham(有名なエンジニア)のことを指しており、ここでは彼がマスタリングを手掛けたことを意味している。

 

そして通常は"A面 PORKEY & B面 PECKO DUCK"のところ、この盤は"A面 PECKO & B面 PECKO DUCK"。これは少々珍しいものらしく、しかもネットの情報によると音が良いらしい。

 

 

で、実際の音はどうかと言うと…

 

これが凄い迫力。曲によっては、腰を抜かしそうになるほどのド迫力だ。爆音、いや轟音というべきか。

 

特にボンゾのドラム。重心が低い分厚い音でありながらアタックが強く、音の爆発力が凄い。

中でも、"Black Dog"、"Misty Mountain Hop"、"When The Levee Breaks"が物凄い。

 

もちろん、ギター、ベース、ボーカルなどの音も素晴らしい。高音域はキレが良く、中低音域は太い音で圧力も高い。

が、やっぱりドラムに耳が行く。最高のロック・ドラマーとも言われるボンゾだが、この盤を聴いて、確かに最高だ、と。

 

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ということで、今回久しぶりに聴いてみて、改めて認識した。

やっぱりレッド・ツェッペリンは凄いバンドだな、そしてボンゾがいてこそのレッド・ツェッペリンなのだな、と。

 

 

 

と、ここまでレッド・ツェッペリンというバンドやアルバム「レッド・ツェッペリン」を高く評価することばかり書いてきたが、巷で何故ここまで人気があるのか、こんなにも売れているのか(累計販売枚数歴代5位)…  よく分からない、と言うか少し不思議な感じがする。

 

イーグルス、ドゥービー、フリートウッド・マックヴァン・ヘイレンボン・ジョヴィマイケル・ジャクソンビリー・ジョエル… といったバンドやスーパー・スターのように、陰と陽で言えば陽、閉鎖的と開放的で言えば開放的なイメージの音楽が大人気で、アルバムが売れに売れてモンスター・ヒット… これなら分かる。

 

だが、レッド・ツェッペリンはどちらかと言うと逆のイメージ。しかも変わった感じの曲も多く、分かりやすいとは言い難い。にも関わらず、累計販売枚数歴代5位のモンスター・ヒット…  よく分からない。

良く出来たアルバムだと思うし、大ヒットするのは分かるのだが、累計2,400万枚?、歴代5位?  不思議だ…

まあ、だからこそ凄いバンドなのか、な。

 

 

 

(おまけ)

RIAA(米国レコード協会)が公表している累計販売枚数の多いアルバムのトップ10は以下の通り。

 

  1. EAGLES「THEIR GREATEST HITS 1971 - 1975」3,800万枚

  2. MICHAEL JACKSON「THRILLER」3,400万枚

  3. EAGLESHOTEL CALIFORNIA」2,600万枚

  4. AC/DC「BACK IN BLACK」2,500万枚

  5. LED ZEPPELINLED ZEPPELIN IV」2,400万枚

  6. THE BEATLESTHE BEATLES」2,400万枚

  7. BILLY JOEL「GREATEST HITS VOLUME I & II」2,400万枚

  8. GARTH BROOKS「DOUBLE LIVE」2,300万枚

  9. PINK FLOYD「THE WALL」2,100万枚

10. FLEETWOOD MAC「RUMOURS」2,100万枚

 

概ね「なるほどね」というものだが、「へぇ、そうなんだ?」というものもある。

 

4位 AC/DCは米国で大人気と聞いたことはあるが、こんなにも人気だったとは…(リフが良いのか、半ズボンがウケているのか…)しかも「レッド・ツェッペリンⅣ」より売れている…

 

6位 ビートルズのランクインは当然だろうが「ホワイト・アルバム」なのにはちょっと吃驚…(「サージェント・ペパー」や「アビイ・ロード 」では無いんだ…)

 

9位 ピンク・フロイドもこんなに人気があるのか…(プログレなのにこんなに売れるのか… しかも「狂気」では無く「ザ・ウォール」なんだ…)