レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Beatles VI / The Beatles【カナダ盤(モノラル)】

前2回からの「B-SELSで買ったレコード」シリーズの続きです。

 

ということで、今回の「レコード評議会」はこの盤。

 

 

The Beatles

Beatles VI

カナダ盤(USマザー:Scranton Pressing)(1965年)

Capitol

T 2358

Side1:T1-2358-G4  IAM

Side2:T2-2358-G8  IAM


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Side1

 1. Kansas City

 2. Eight Days A Week

 3. You Like Me Too Much

 4. Bad Boy

 5. I Don't Want To Spoil The Party

 6. Words Of Love

Side2

 1. What You're Doing

 2. Yes It Is

 3. Dizzy Miss Lizzie

 4. Tell Me What You See

 5. Every Little Thing

 

 

アメリカ編集盤「ビートルズ」。そのUSマザーカナダ・モノラル盤

 

 

ビートルズ」と言えば、2014年1月12日にUSステレオ盤を採り上げたが、そこで以下の様に書いた。

 

 

うーん、どうなんでしょう…

 

鮮度が高い、キレが良い、輪郭がハッキリしている、音圧が高い、響きが良い、低音の鳴りが良い、音の膨らみが良い、音が活き活きしている…などといった良い音を表現する言葉が出てこない。

 

雑味があってざっくりした感じだし、ベースの焦点も甘く、お世辞にも良い音とは言い難い。

しかも"Yes It Is"は過剰にエコーが掛かった擬似ステレオ

 

ここでふと、こんなことを思ってしまった。

 

アメリカはプレス枚数が相当多いため、音がへたっている盤が多いのではないか?

スタンパーが若い盤は音が良いのではないか?

この盤はScrantonプレスだが、別の工場でプレスされたものは音が良いのではないか?

 

まあ、でも"Yes It Is"が擬似ステレオであることに変わりはないし…

 

ん?それならモノラル盤ならどうなのだろう?もしかするとモノラル盤は音が良いのではないか?

 

いやいや、だからこんなことしていたらエライことになる、って前回も言っていただろうに…

 アメリカ編集盤US盤でこんなに悩むのはやめよう…

やめよう…

 

 

と言っておきながら、買ってしまったのがこのカナダ・モノラル盤なのだ。

 

 

何で買ってしまったのか?

"B-SELSのせい"である。

 

 

B-SELSの店内に並ぶレコードを物色していたら、この盤が目に入ってきた。

ご店主の手によるポップにはこう書いてあった。

 

レア! カナダ・モノラル!!

カナダ盤は音が良いので知られています

マトリクス G4/G8 (スタンパーなし 同マトの中では最初期プレス)

カナダ・プレスの高音質が楽しめます

 

 

あの「ビートルズ」のモノラル盤か…

カナダ盤音が良いのと定評があるのか… 

カナダ・プレス高音質なのか…

名曲"Yes It Is"が良い音で聴けるのか…

 

 

「あの、これ視聴させていただいて良いですか?」

ご店主「どうぞどうぞ。これはUSマザーのカナダ・プレスですね」

 

「カナダ盤って音が良いんですか?」

ご店主「USマザーですからUSキャピトルの音ではあるんですけど、音そのものは良いですよ。聴いてみてください」

 

 

A面にご店主が針を下ろす。

おお、確かに音が良い。

 

雑味があってざっくりしていると感じたUSステレオ盤に対して、カナダ・モノラル盤は一聴して分かるほど音が良い。

雑味や濁りが感じられず、音がシャープでシャキッとしている。キリッとしている。

 

カナダのプレス枚数が少ないためか?

プレス技術が優れているのか?

ビニール材質が良いのか?

 

これは、買わないという選択肢はあるのか?

 

 

「カナダ盤、これは確かに音が良いです。キリッとしていますね。それにUSステレオ盤では擬似ステレオで過剰なエコーが掛かっている"Yes It Is"がモノラルの良い音で聴けるのが嬉しいですね」

 

ご店主「あのエコーが好きだと言う人もいますので、皆さんの好みは色々ですね〜。USキャピトルの音は高音域が少しキツイので私はUKの音の方が好みですけど、ボールルームなどで聴くには良かったみたいですよ」

「へぇ、なるほどですね。面白いなぁ」

 

 

やっぱりビートルズの聴き比べは楽しい。

しかも良い音となると、その楽しさもひとしお。

 

こうなるともう、買わないという選択肢は無い。

 

「これ買います」

 

 

ということで、 "B-SELSのせい"で買ってしまった訳である。

 

B-SELS、楽しさの幅を拡げてくれる素晴らしい場所である。と同時に、危険なところでもある…

ビートルズ天国であると同時にビートルズ地獄

 

 

と、アメリカ編集盤をまた買ってしまったと反省(?)しつつ、家に帰ってから改めて聴いてみたが、良いアルバムではないか「ビートルズVI」。

 

選曲は「ビートルズ・フォー・セール」から6曲、「ヘルプ!」から3曲、シングルB面1曲、未発表曲1曲の全11曲なのだが、各曲の音の傾向も似ている。

 

 アルバム「ビートルズ・フォー・セール」より

  Kansas City

  Eight Days A Week

  I Don't Want To Spoil The Party

  Words Of Love

  What You're Doing

  Every Little Thing

 アルバム「ヘルプ!」より

  You Like Me Too Much

  Dizzy Miss Lizzie

  Tell Me What You See

 シングル(Ticket to Ride)B面

  Yes It Is

 UK未発表曲(後に「オールディーズ」に収録)

  Bad Boy

 

先入観を捨てて聴いてみると、結構まとまりのあるアルバムで、"Yes It Is"と"Bad Boy"が収録されているのもポイントが高い。

 

それに曲順の影響なのか、"You Like Me Too Much(A面3曲目)"What You're Doing(B面1曲目)"Every Little Thing(B面最後5曲目) が、あれ?こんな良い曲だったっけ?という新しい発見も。

 

 

以前、B-SELSのご店主が「ずっとビートルズを聴いていますけど、聴くたびに新しい発見があるんですよ」と仰っていたが、その言葉を改めて実感。

 

 

ということで、結構な(かなりの)お気に入りとなった「ビートルズ」なのだった。

 

 

 

(おまけ)

ちなみにジャケットの作りは、カナダ盤の方が丁寧です。

 

カナダ・モノラル盤

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USステレオ盤

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奥:カナダ・モノラル盤、手前:USステレオ盤

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色合いも若干違うんだ。

 

 

 

(追記)

B-SELS日記にご紹介いただきました。

ありがとうございます。

B-SELS ビーセルズ | 日記 | 『RUBBER SOUL』 UKステレオ美盤 初回マト2 +極美ジャケ A面最高峰1G これがステレオ最強1Gの音!!!!!!!!!!