レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Summertime Blues / The Who【US盤、UK盤】

次回は爆発力、破壊力が凄まじい「ライブ・アット・リーズ」からのシングル・カット曲を採り上げよう』と言っておきながら、B-SELS参りのために中断していた ザ・フーシングル盤シリーズ、再開します。

 

ということで、今回の「レコード評議会」はこれ。

 

 

The Who

Summertime Blues

US盤(1970年)

Decca

32708

SideA:7 122670 11

SideB:7-122916-12  2


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A. Summertime Blues

B. Heaven And Hell

 

 

The Who

Summertime Blues

UK盤(1970年)

Track Record

2094-002

SideA:2094002 A▽1  11  2

SideB:2094002 B▽1 ▽211  1


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A. Summertime Blues

B. Heaven And Hell

 

 

ライブ・アルバム「ライヴ・アット・リーズ(1970年2月14日、リーズ大学におけるライヴ)からのシングル・カットである"サマータイム・ブルース"。

そのUS盤UK盤

 

 

"サマータイム・ブルース"の原曲は、エディ・コクランが1958年にリリースしたロカビリーだ。

 

様々なミュージシャンにカバーされている。

ブルー・チアー(1968年)RCサクセション(1988年)辺りが有名だろうか…

 

 

しかし、何といってもザ・フーによるこのカバーが頭抜けている。

 

オーバードライブが掛かったド迫力のピートのギター。

縦横無尽に動き回るジョンのベース。

終始フィルを入れまくるキースのドラム。

喉から振り絞るように歌うロジャーのボーカル。

加えて、超低音のジョンのボーカル。

 

3つの楽器とボーカルだけとは思えないほど分厚いサウンドで、 シンプルな曲ゆえにその爆発力破壊力が物凄い

 

後のハードロックやヘビーメタルと比べても、根源的な爆発力破壊力ではこの演奏を超えるものは無いのではないか、と思う。

 

高校生の頃だったか、最初にこの曲を聴いた時、「凄いパワーだ、これこそがロックだ」と思ったものだった。

 

 

さて、手元にあるUS盤UK盤だが、両者とも音のエネルギーが高く、切れ味抜群。

スピーカー右のギター、左のベース、中央のドラムとボーカル、その爆発力破壊力が凄い。

音の良さで言えば全くの互角であり、甲乙付け難い。

 

ただ、微妙に印象が違う。

 

US盤:開放的で明るい音

UK盤:引き締まって濃密な音

 

個人的な好みで言えば、UK盤に軍配が上がる。

 

いずれにしても、ザ・フー爆発力破壊力がシングル盤に濃縮して収められており、これを聴いた当時の人達も 「凄いパワーだ、これこそがロックだ」と思ったに違い無い。

 

 

で、B面にひっくり返すと「うーん、B面だな」となるのが、ザ・フーのシングル盤ではよくあるパターン。

 

だが、このシングル盤のB面"ヘブン・アンド・ヘル"はそのようなことは無い。

むしろ、傑作だと言って良い。

 

1968年からライヴで演奏されていた曲で、当時のライヴではオープニングに演奏されていた、最高にカッコ良い曲だ。

 

ジョンの曲で、自らボーカルも取っているロジャーはコーラスのみ)

 

 

このシングルB面に収められているのは、1970年に元々はBBC放送用として録音されたスタジオ・バージョン

そして1970年にも関わらず、モノラルだ。

 

アコースティック・ギターのカッティングをバックに、オーバードライブの掛かったエレクトリック・ギターがガンガンと攻める、ベースが動き回る、ドラムが暴れまくる。

 

ライブでも映える曲で「ライヴ・アット・リーズ 25周年エディション」や「ワイト島ライヴ1970」でも聴くことが出来るが、これも凄い演奏だ。

ちなみに「ワイト島ライヴ1970」の映像には、コーラスのみのロジャーが歌っていない時はマイクをブンブンと振り回している姿が映っている…

 

 

さて、手元にあるUS盤UK盤だが、両者とも音の鮮度が高く、キレの良い音だ。

こちらも音の良さで言えば全くの互角であり、甲乙付け難い。

 

ただ、やはり微妙に印象が違う。

 

US盤:モノラルながら開放的で広がりを感じさせる音

UK盤:引き締まっていて真ん中に集まっている音

 

こちらはUS盤の方が個人的には好みだ。

 

なお、UK盤は曲の最後でスッと音が小さくなるが、US盤は音量が変わらず最後の音まで聴こえる。

 

 

ともあれ、このシングル盤はA面B面ともに最高の曲が収められており(←ザ・フーにしては珍しい)、しかもB面はアルバム未収録ということで価値が高い。

 

 


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1段目左から:ドイツ盤、スペイン盤、ポルトガル

2段目左から:フランス盤、イタリア盤、ノルウェー

 

 

ということで、ザ・フーのシングル盤の中でもレベルの高い一枚なのだが、一点だけ不満と言うか「うーん」と思うことがある。

 

A面がステレオ、B面がモノラルということだ。

いちいち針を交換するのも面倒だし、 どちらかにして欲しかった…

 

 

まだザ・フーシングル盤シリーズは続く…