レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Let's See Action / The Who【UK盤】

ザ・フーシングル盤シリーズ、ここからは「ライフハウス」関連のアルバム未収録曲が3曲続く。

 

 

ライフハウス」は「トミー」に続くロック・オペラ第ニ弾としてピートが構想したものなのだが、内容が難解だとしてプロジェクトは頓挫

最終的に「コンセプトを持った曲によるノン・コンセプト・アルバム」として制作し直されたのが「フーズ・ネクス」。

 

ライフハウス」や「フーズ・ネクス」についてのあれこれは、こちらの記事をご覧ください。

 

で、その「フーズ・ネクス」への収録から漏れてシングル盤としてリリースされたのが、今回の「レコード評議会」で採り上げるこの曲だ。

 

 

The Who

Let's See Action

UK盤(1971年)

Track Record

2094-012

SideA:2094012  A//1  11  1  PORKY

SideB:2094012  B//1  11  3  


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A. Let's See Action

B. When I Was A Boy

 

 

1971年8月の「フーズ・ネクス」リリース後、同年10月にリリースされたシングル盤"Let's See Action"。

 

英国チャートで16位、なかなかのヒットとなっている。

 

 

録音データが明らかになっていないが、「ライフハウス」のコンセプトに基づいて作曲、「フーズ・ネクス」のセッションで録音されたものの、アルバムへの収録から外されて、シングル盤としてリリースされたものと思われる。

 

フーズ・ネクス」のセッションに参加しているニッキー・ホプキンスがピアノを弾いていることからも、それが窺い知れる。

 

 

邦題は"ワイルド・アクション"。

 

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アコギとピアノから始まるカントリータッチのミドルテンポ・ナンバーだが、ロジャーはワイルドな歌い方で、ここから"ワイルド・アクション"との邦題が付いたのだろう。

 

それとも映画「イージー・ライダー(日本では1970年公開)の挿入歌としてヒットの"ワイルドでいこう!Born to Be Wild"からヒントを得て、ワイルド・アクションでいこう!としたのかも知れない。

 

だが歌の内容は Nothing is everything, everything is nothing無は全て全ては無といった、ピートが師事していたミーハー・ババに影響を受けたものであり、どこが"ワイルド・アクション"?と思わざるを得ない。

 

 

さてこのシングル盤なのだが、この記事を書くに当たってセンターレーベルを見ると、Produced by The Who in association with Glyn Johns とある。

 

グリン・ジョンズは「フーズ・ネクス」のプロデューサーを務めているが、ここでも共同プロデューサーとして名を連ねている。

 

ちなみにビートルズ・ファンにとって、グリン・ジョンズと言えば、幻のアルバム「Get Back」を手掛けた人物として名が知られている。


 

そしてマトリックスを見ると、A面に PORKY の刻印がある。

 

これはイギリスのマスタリング&カッティング・エンジニアである George Peckham の刻印だ。

レッド・ツェッペリンのアルバムでも仕事をしている有名なエンジニアであり、その仕事振りには定評がある。

 

迫力のあるサウンドに仕上げるべく、彼にマスタリング&カッティングを依頼したのだろう。

 

そう思って聴くと、他のシングル盤よりもキレがあって迫力ある音に思えてくるプラシーボ効果のようなものだと思うが…)

 

 

次にB面だが、ジョン作曲の"When I Was A Boy"。

 

邦題では"ワイルド・ボーイ"とのタイトルが付けられ、A面としてリリースされている(B面はこれまたジョン作曲の"マイ・ワイフ")

 

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だが歌詞は「子供の頃は悩みも無かったが、今は大人になって悩むことばかりだ、今まで無駄な時間を過ごしてきてしまった…」といった人生を後悔する様な内容。

どこが "ワイルド・ボーイ"? と思わざるを得ない。

 

演奏も、ジョン自らがボーカルを取るとともに、フレンチホルンも演奏しているのだが、ワイルドな感じはしない。

 

"ワイルド・アクション"に引っ掛けて"ワイルド・ボーイ"にしたとしか思えない。

 

 

Let's See Action   ☞   ワイルド・アクション

When I Was A Boy   ☞   ワイルド・ボーイ

 

なかなかの迷タイトルと言えよう。

 

 

と、あれこれ書いてきたが、実はお気に入りというほどの曲では無い。

 

アルバムに収録されていれば、なかなか良い曲ではないかと思っていたかも知れないが、シングルとしてはパンチに欠ける。

 

だが、ピートにとっては「ライフハウス」関連として、思い入れのある曲だろう。

そう思って「ライフハウス」の文脈でこの曲を捉えると、なかなか面白く聴けるかな、と。

 

 

ということで、今回はこの辺で…

 

 


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1段目左から:フランス盤、オランダ盤

2段目左から:ドイツ盤(欧州各国)、イスラエル

3段目左から:ノルウェー盤、ポルトガル

 

ちなみにアメリカではシングル・リリースされていない…