「ビートルズ フランス盤EP特集」の第3回。
ということで、今回の「レコード評議会」はこれ。
We Can Work It Out(7" EP)
フランス盤(1966年)モノラル
Odeon
Pathé Marconi (Les Industries Musicales Et Electriques Pathé Marconi)
MEO 107
7TOP 1011 21 M3 246308
2 7TOP 1012 21 M3 246309
Face1
1. We Can Work It Out
2. You Won't See Me
Face2
1. Day Tripper
2. Norwegian Wood
この盤のピクチャースリーヴも、フリップバックカバー、フィルム・コーティング。
使われている写真は、1つ前に記載したEPの写真と服や楽器やが同じであり、おそらく同じフォト・セッション時のものなのだろう。
選曲は、"We Can Work It Out"と"Day Tripper" が両A面でリリースのシングル。
"You Won't See Me"と"Norwegian Wood"はアルバム「ラバー・ソウル」の収録曲だ。
シングル2曲は「ラバー・ソウル」セッションでの録音で、1965年12月に同アルバムと同時にリリースされたもの。
なので、この4曲のカップリングはとてもしっくりくる。しかも良い曲が揃っている。
このEPは翌年1966年のおそらく2〜5月の間にリリースされているのだが、2曲だけなので物足りないとシングルを買わなかった人、LPは値段が高いとアルバムを買わなかった人、そんな人達向けにお手頃なミニアルバム的なものとしてリリースされたのだろう。
音の方は、モノラル。
"Norwegian Wood"ではちゃんと咳払いが入っているので、間違い無くモノラルミックス。
で、音質なのだが、これが素晴らしく良い音がする。
前2つの記事に記載したEPは硬質な響きで、それはそれで悪く無いものの、こちらのEPは新鮮かつ自然な響きで、どう聴いてもこちらのEPの方が音が良い。
英国から送られてきたテープをもとにフランスで独自カッティングした盤なのだが、テープのジェネレーションが若いのだろう、音の鮮度が高いと感じる。解像度も高い。
タンバリンが活躍する曲が多いが、その動きが鮮明に分かる。
ボーカルの向こう側の空気も感じられる。
ベースの輪郭も明瞭で、よく跳ねる。
音にスピード感がある。
何でこんなに良い音なんだ、良いじゃないか、フランス盤。
ちなみに、以下の2曲にはこんな邦題が付いている。
"We Can Work It Out"「恋を抱きしめよう」
"Norwegian Wood"「ノルウェーの森」
前者は、仲が上手くいかなくなっている恋人に対して「僕達は上手くやって行けるはずだよ」と歌う曲。なので、この邦題は分かるような、分からないような。歌詞にある「人生は短い、だから揉めたりしている時間は無いんだよ」→(だからこの恋を大切にしよう)→「恋を抱きしめよう」となったのだろう。一種の意訳?だったら、個人的には「恋の行方」したらどうかと思うのだが…(どちらにしても昭和感満載だなぁ…)
後者は、村上春樹の小説でも有名だが、本当は「ノルウェー産の木材」「ノルウェー製の木材家具」という意味。最も有名な誤訳とも言える邦題だ。だが「ノルウェーの森」という言葉の響きが曲にも合っているし、もうこれしか有り得ない。誤訳ではなく、超訳だと思う。
以上「ビートルズ フランス盤EP特集 その3」でした。
続く