2回に亘って「レコード評議会」で採り上げてきたホセ・フェリシアーノ。
折角なので、更にもう一枚採り上げさせてもらおう。
ここでも、ビートルズのカバーが数多く収録されている。
José Feliciano
US盤(1970年)
RCA Victor
LSP-4370
Side1:ZPRS-8181-30S-A2 R
Side2:ZPRS-8182-30S-D R
Side1
1. Fireworks (From Handel's "Fireworks Suite")
2. Destiny
3. (I Can't Get No) Satisfaction
4. Norwegian Wood
5. She Came In Through The Bathroom Window
Side2
1. Pegao (Instrumental)
2. Once There Was A Love
3. Blackbird
4. Susie-Q
5. Yesterday
6. Let It Be
ジャケットは写真も無く、文字のみ。
クラシック音楽のジャケットのようだ。
と思ったら、アルバム・タイトルにもなっている1曲目はヘンデルの「王宮の花火の音楽」。
何故にクラシック音楽?と思ったが、ギターで奏でられるバロック音楽も悪くない。
ローリング・ストーンズの"Satisfaction"もカバーされている。
ラテン・タッチで歌われるストーンズ。聴くまで想像し難かったが、あぁ、こうなるのね、と聴いたら納得。粘る声が曲にも合っている。
そして、ビートルズ。5曲もカバーが収録されている。
インストは、"Norwegian Wood" "Yesterday" の2曲。
"Norwegian Wood"はラテン風味にアレンジされている。ノルウェーなのに南米にアレンジされている訳だが、ボサノバの名曲のようだ。
"Yesterday"は何だかムード音楽のようになってしまっている。と言うか、この曲は様々な人にカバーされているが、どうしてもこうなってしまう気がする。ポールの声と弦楽四重奏だからこそ成り立つ曲なのかも知れない。
ボーカル入りは、"She Came In Through The Bathroom Window" "Blackbird" "Let It Be" の3曲。
"Let It Be"は原曲を踏まえた演奏。間奏部ではエレキギターによるソロも入っているのが珍しい。
"Blackbird"はラテン風味のアレンジが、この曲の別の良い面を引き出している。ジャコ・パストリアスもこの曲を採り上げているが、これも素晴らしい。原曲からして素晴らしいのだが、拡張性も高い名曲なのだろう。
そして何と言っても、"She Came In Through The Bathroom Window"。まずこの曲に目を付けたところに吃驚。「アビイ・ロード」B面メドレーの1曲なのだが、これを選ぶとは…。で、演奏なのだが、これがまた完全にホセ色に染まっている。ラテンのアレンジもそうなのだが、メロディも原曲を残しつつも、ホセのものに変えられており、しかもそれが素晴らしい。
それにしてもアルバム全11曲中5曲と、約半分がビートルズのカバーで占められている。
このアルバムがリリースされた1970年はビートルズが「解散」した年なのだが、当時どれだけビートルズが注目を集めていたか、人気があったか、という証と言えよう。
さて、このアルバムも、もう一枚持っている。
José Feliciano
イタリア盤(1970年)
RCA Victor
LSP 4370
Lato1:△ ZKAY 17116 - 1S 1A 1
Lato2:△ Y ZKAY 17117 -1S 1A 1
イタリア盤。
US盤のジャケットはあまりに素っ気ないと思ったのか、イタリア盤ではホセの写真に差し替えられている。
音は、独自カッティングなのだが、かなりの良音だ。
基準となるUS盤と比べても、音の鮮度や響きに全く遜色が無い。
一つ前の記事で採り上げた「10 To 23」のイタリア盤もUS盤に負けず劣らずの良音。
RCA Victor のイタリア盤は押し並べて音が良いのだろうか?
ということで、ビートルズに絡めつつ、3回に亘って採り上げてきたホセ・フェリシアーノ。
最後に、それぞれのアルバムからビートルズのカバーについて、特におすすめの曲を書いておこう。
Feliciano!
"In My Life"
10 To 23
"She's A Woman"
"Blackbird"、"She Came In Through The Bathroom Window"
その中でも"She Came In Through The Bathroom Window"が選曲の妙と言い、ホセ度の高さと言い、イチオシ。