ここのところ、レコードを買うに際して「レコード評議会」のネタになるか、を意識してしまう。
で、ネタとして買ったところ、思っていた以上に良い結果をもたらしてくれることがある。
今回採り上げるのは、そんな1枚。
Hello, Goodbye(7" Single)
US盤(Scranton Pressing)(1967年)モノラル
Capitol Records
2056
SideA:45 - X 46160 F13
SideB:45 - X 46161 F13
A:Hello, Goodbye
B:I Am The Walrus
"Hello, Goodbye / I Am The Walrus"のUSシングル盤。
写真を見てお分かりの通り、US Capitol盤だ。
ビートルズのUS Capitol盤、実はあまり良い印象を持っていない。
ビートルズ(とジョージ・マーティン)が、こういったアルバムを作ろうとセッションに臨み、曲順も考えて制作したアルバムをキャピトル・レコード(Capitol Records)はバラバラにして切り売りした。
本来のアルバム収録曲をカットし、シングルや他のアルバムから曲を持ってきて、別タイトルのものを作ったり(例:Beatles '65)、同じタイトルでも曲が全然違うもの(Rubber Soul)や曲数が少ないもの(Revolver)をリリースしたりしている。
それだけならまだ良いが(←良くは無いが、面白い編集盤だと思ったりすれば、まあ許せる)、疑似ステレオだったり、余計なエコーが掛かっていたり、ベースの鳴りが悪かったり、音の焦点が甘かったりと、音がイマイチなのは如何なものか…
という訳で、US Capitol盤にはどうにも食指が動かなかった(「Magical Mystery Tour」は例外だが)。
が、「レコード評議会」のネタという観点からするとUS Capitol盤もアリだよな…と思い、ピクチャー・スリーヴが無いため値段が安かったこともあって(550円)、試しに買ってみたのがこの盤。
ちなみにUS Capitol盤のピクチャー・スリーヴはこれ☟I Am The Walrus の方が字が大きい…
しかして聴いてみた結果は…
これが、A面で「はぁ?」、B面で「ええっ?」と驚愕の二乗だった。
まずは、A面。
"Hello, Goodbye"
冒頭、You say Yes…
はぁ? 音がたわんでいる。テープが延びてしまったのか?という感じに音が歪(ゆが)んでいる。
これはヒドい。おいおい、よくこのまま売り出したな、と言うくらいヒドい。クレーム来なかったのか?
おそらく、カッティング・マシンの回転が安定していなかったのだろう…
やってくれるよ、US Capitol盤…
で、気を取り直して(一方でネタになるな、とも思いつつ)、B面。
"I Am The Walrus"
モノラルなので、冒頭のリフは4つ。
おおっ、ジョンのボーカル、チェロの響きがすこぶる良い。音が活き活きとしている。音の鮮度も高いし、これは良い音だ。
そして、ええっ?と驚いたのが、この部分。
I'm crying と Yellow matter custard の間が1小節長いのだ。
ええっ?あれ??と吃驚し、そう言えば、そんなミックス違いがあるって、どこぞに書いてあったな…と、ビートルズ本やネットを見てみると、USモノラル・シングルのみ1小節長いとある。
うーむ、これは迂闊だった。US Capitol盤は音がイマイチという思い込みから、今までこの貴重なミックス違いを聴き逃していたのか…
しかもこの盤、音が良いではないか。
ということで、今回買ったこのUS Capitol盤、「はぁ?」のA面 ✖️「ええっ?」のB面で、驚愕の二乗でした。
今回の教訓
US Capitol盤を見くびるべからず。
新しい発見(またはネタ)があるかも知れない…