レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Yellow Submarine / The Beatles【UK盤(モノラル)、オランダ盤(ステレオ)】

B-SELS 。

近鉄奈良駅を出ると、通りを挟んですぐ目の前にそのお店はある。

ビートルズ専門アナログ・レコード専門店である。

(HP:B-SELS ビーセルズ

 

東京に住んでいるため、なかなか行けないのだが、関西方面に出張の際は、B-SELS参りを欠かすことの無いようにしている。

 

ビートルズ・ファンにとってのテーマパークワンダーランドパラダイスとも言える存在である。

同時に、中毒性が高く、一度ハマると抜け出せない「」でもある。

 

ご店主が書く日記(お店のブログ)にはそんな「」にハマった方々が数多く登場する。

毎月のように来店される方、貴重盤をまとめ買いされる方、同じタイトルのものを何枚も買われる方、遠方からB-SELSのためだけに日帰りで奈良に来られる方、などなど…

 

興味の無い方からすれば「???」と思われるかも知れないが、この「レコード評議会」などという偏ったブログをご覧いただいている方であれば、「」の素晴らしさ(同時に恐ろしさでもあるが)はご理解いただけるのではないだろうか。

 

そんな「」…もといB-SELSがメディアで紹介された。

朝日新聞DIGITALに掲載されているのだ。

B-SELSの日記(こちら)にもそのことが書かれているのだが、遂にその名が全国に知れることとなった訳だ。

 

これで「」に落ちる人が増えることになるだろう。そして「」にハマって抜け出せなくなる人が更に増えることになるだろう。

 

ということで、今回も関西への出張にかこつけてB-SELS参りに行ってきた。

今年の3月に初訪問して以降、今回で5回目の訪問だ。

 


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お店の扉を開けると、いつもの通りビートルズ大音量で流れている。

 


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まずはご店主にご挨拶し、朝日新聞の記事について話をする。

最初は奈良地方版の紙面記事だけのつもりだったはずが、結果的にネット記事となり、それから問い合わせや来店が増えたのだとか。

それはそうだろう。こんなお店があるとビートルズ・ファンが知ったならば、気にならない訳が無い。

やはり、「」に落ちる人が増えることになったか(笑)

 


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さて、この日は先客がいらっしゃった。ご店主からご紹介いただくと、お店の日記にも度々登場されている凄いコレクターでもある常連さんとそのお嬢さまとのこと。

ジョンのソロを試聴されていたが、その恩恵に預かり、ソロも良いよな…と、私も興味深く聴かせていただいた。

レコードあるある、みたいな話もあって、初対面でそんな話ができるのも同じビートルズ・ファンが集まるB-SELSなればこそなのだろう。

 

 

で、ご店主とのビートルズ談義(昨今話題の新作 Now And Then の話も)を楽しみつつ、さんざん試聴させていただいて、今回も長編映画1本分以上長居をしてしまった。

 

ということで、5枚(LP3枚、EP1枚、シングル1枚)買ったので、「B-SELSで買ったレコード」シリーズとして4回にわたり「レコード評議会」で採り上げよう。

 

まずはこちら「イエロー・サブマリン」のUKモノラル盤だ。

 

 

The Beatles

Yellow Submarine

UK盤(1969年)モノラル

Apple Records

PMC 7070

Side1:XEX 715-1  L  3

Side2:XEX 716-1  O 1


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Side1

  1. Yellow Submarine

  2. Only A Northern Song

  3. All Together Now

  4. Hey Bulldog

  5. It's All Too Much

  6. All You Need Is Love

Side2

  Original Film Score

  1. Pepperland

  2. Sea Of Time

  3. Sea Of Holes

  4. Sea Of Monsters

  5. March Of The Meanies

  6. Pepperland Laid Waste

  7. Yellow Submarine In Pepperland

 

 

アルバム「イエロー・サブマリン」はイギリス盤としては10作目となるオリジナル・アルバムで、同名のアニメ映画のサウンドトラック。

 

B面は全てジョージ・マーティン・オーケストラによる演奏で、ビートルズによる演奏はA面の6曲のみ。しかも既出が2曲、初出は4曲のみ。

このためイマイチ人気に乏しいアルバムではある。

 

だが、このアルバムには"Hey Bulldog"が入っている。ジョンによる曲の中でもカッコ良さで言えば上位に入る曲だ。

サイケ感・アシッド感のあるジョージの"Only A Northern Song"と"It's All Too Much"も聴き逃すことのできない曲だ。

 

 

ということで、アナログ・レコードも既に持っている。

オランダ盤なのだが、UKマザーのステレオ盤である。

 

オランダ盤(1969年)ステレオ

Apple Records

PCS 7070

Side1:YEX 715-1  32  E1  2

Side2:YEX 716-1  10  2


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UKマザーということで、音はかなり良い。

ベースも良く鳴るし、音のキレも抜群だし、文句無しの良音だ。

 

 

イエロー・サブマリン」のマスター・テープはステレオ・ミックスのみであり、ステレオ盤が基本。

イギリスではモノラル盤もリリースされているが、ステレオ・ミックスをモノラル化してカッティングしたものだ(いわゆる「偽モノ」のようなもの)

 

なので、今までモノラル盤は聴かなくても良いかな、と思っていた。

ステレオとモノラルのミックス違いも無いし…

それにプレス枚数も多くないようで、なかなかお目にかかれるものでもないし…

 

 

といった訳で「イエロー・サブマリン」についてだけはステレオ盤のみで満足し、モノラル盤を無視してきたのだが、今回B-SELSでエサ箱を掘っていると、A面3L、B面1Oモノラル盤が置いてある。

 

A面:マザー3、スタンパー8、B面:マザー1、スタンパー5、ということで、鮮度の高い音が期待できるものだ。

 

うーむ、気になる。

今まで無視してきたモノラル盤だが、もしかすると新しい発見があるかも知れない。

 

私「こちら試聴させてください」

ご店主「どうぞどうぞ」

 

  ☟ 改めて今回のレコードを掲載しておく。

 

UK盤(1969年)モノラル

Apple Records

PMC 7070

Side1:XEX 715-1  L  3

Side2:XEX 716-1  O 1


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試聴席に座ってスピーカーから出てくる音を聴くと…

 

"Yellow Submarine"

最初の音が出てきた瞬間から驚いた。スタンパー8、さすがの音だ。

私「いやはやこれは良い音ですね」

ご店主「鮮度が高いですよね」

私「このアルバムはステレオ・ミックスをモノラル化したんですよね」

ご店主「この時期になると、ステレオ・ミックスだけなんですよね」

アルバム「リボルバー」に収録済の曲だが、ジョンの最初の合いの手が無いステレオ・ミックスをモノラルで聴くのも乙なものだ。

 

"Only A Northern Song"

ステレオ盤ではミキシング時の技術的な問題から擬似ステレオで収録されており、音像がイマイチだが、モノラル盤だと違和感無く聴ける。

色々な音が散りばめられている、と言うかごちゃごちゃ入っているが、音が一緒くたにスピーカーから出てくるモノラル盤の方がサイケ感がある。

 

"All Together Now"

ノベルティ・ソングのような曲だが、音が真ん中からストレートに出てくるモノラル盤はスピード感がある。

 

"Hey Bulldog"

ピアノ、ギター、ベースと順に入ってくるが、ベースが入ってきたところで思わず仰け反ってしまった。

私「ポールのベースが凄いですね。これはリード・ベースですよ」

ご店主「ステレオをモノラル化したものにはベースが大きいことがよくありますね」

そうなんだ。ベースの音がステレオ盤より明らかに大きい。威力がハンパなく凄い。

ご店主「モノラル盤はジョンのボーカルが小さめになってしまっているんですよ」

私「ステレオ盤はジョンのボーカルが右側チャンネルだけのところがあるので、モノラル化するとこうなるんですね。ジョンのボーカルよりポールのベースの方が目立ってますね」

うーむ、これはカッコ良い。ステレオ盤よりこちらのモノラル盤の方がカッコ良さが倍増している。

 

"It's All Too Much"

この曲も色々な楽器がごちゃごちゃと重ねられているが、音が一緒くたになっているモノラル盤の方がアシッド感があるかも…

オーディオ的にはステレオ盤の方が優れているのかも知れないが、モノラル盤の方がその時代感を感じることができるような気がする。

なお、トランペットによる印象的なソロは、イギリスの結婚式でよく使われる「デンマーク王子の行進曲(別名:トランペット・ヴォランタリー)」。なかなかに粋な使い方だ。

 

"All You Need Is Love"

シングルでリリース済だが、イギリスではアルバム初収録アメリカでは「マジカル・ミステリー・ツアー」に収録されている)

ベースが大きく聴こえるのはステレオ・ミックスをモノラル化したからなのだろうか。なかなか悪くない。

通常のモノラル盤よりエンディングは少し短めだが、それもまた乙なものだ。

 

 

A面全てを聴き通して思った。

イエロー・サブマリン」のモノラル盤、これは「偽モノ」では無い。「ホンモノ」だ、と。

 

しかも音が素晴らしく良い。こんなに音の良い盤を聴いてしまったうえで、買わないという選択肢があろうか?

「いやはやホントに良い音です。これは買います」

 

 

実はこの盤、薄キズが多く、見た目は決して良く無い(このため値段が抑えめになっている)。だが肝心のA面における音への影響は皆無に近い。

 

ご店主は常々「見た目ではなく、試聴して音を聴いたうえでお買い上げいただきたい」と仰っているのだが、中古レコードというものは表面は綺麗に見えても音飛びする盤もあれば、キズだらけのように見えても音は素晴らしい盤もある。

 

中古レコードというのはそういうものなので、やっぱり実際に音を聴いて確認できるのであればそれが一番。

B-SELSは試聴を心置きなくできるので、ホントに有難いお店だ。

しかも試聴しながらお店で過ごす楽しい時間込みで、買ったレコードには愛着が湧く。

 

ということで、今回も楽しく、良い買い物をさせていただきました。

ご店主に感謝感謝です。

 

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(追記)

家に帰ってからステレオ盤と聴き比べをしてみたが、今回買ったモノラル盤はやっぱりベースが大きく、そして鮮度の高い素晴らしい音だった。

 

そして普段はあまり聴くことのないB面、この音がすこぶる良い。マザー1、スタンパー5ならではの鮮度の高い音で、音だけで聴けるというやつだ。

 

ホントに良い買い物をさせていただきました。

 

 

ということで「B-SELSで買ったレコード」シリーズ、次回に続きます…