ステレオ・カートリッジのどこかが原因で、左チャンネルの出力が悪かったため、モノラルしか聴けない日が続いていた。
そこで「ビートルズ フランス盤EP特集」(全てモノラル)と名を打って全6回に亘って記事にしてきた訳だが、ようやくステレオが復活した。
リード線を交換したところ、ちゃんとステレオで音が出るようになったのだ。
不調の原因はカートリッジにあるのではなく、リード線だったようだ。
ということで、ステレオが復活した訳だが、さて「レコード評議会」は何を採り上げよう?
またビートルズというのも何だし…
一方で、ビートルズに頭が侵食されている中、全く関係ないものを採り上げる気にはならないし…
そこで、これならどうだろう…と思い付いたのがこの盤。
José Feliciano
Feliciano!
US盤(1968年)
RCA Victor
LSP-3957
Side1:WPRS-0313-7S H
Side2:WPRS-0314-9S H
Side1
1. California Dreamin'
3. Don't Let The Sun Catch You Crying
4. In My Life
5. And I Love Her
Side2
1. Nena Na Na
2. (There's) Always Something There To Remind Me
3. Just A Little Bit Of Rain
4. Sunny
5. Here, There And Everywhere
6. The Last Thing On My Mind
ホセ・フェリシアーノのアルバム「フェリシアーノ!」。
1968年リリースの、全米ビルボード・チャート2位にまでなった大ヒット・アルバムだ。
まずは、ホセ・フェリシアーノの紹介が必要だろう。
Wikipediaより以下引用させてもらう。
ホセ・フェリシアーノ(1945年9月10日〜)はプエルトリコ出身の歌手、ギタリスト。
プエルトリコのラレスに生まれた。緑内障のため生後まもなく失明したが、盲目のハンディキャップを乗り越え世界的なヒット曲を数多く手がけた。スパニッシュ・ギターの名手でもある。
1964年、「Everybody Do the Click」でデビュー。同年に行われたニューポート・フォーク・フェスティバルに参加。
1968年、ドアーズの「ハートに火をつけて」をカバー。同曲は8月31日から9月14日にかけてビルボード・Hot 100で3週連続3位を記録し、ゴールドディスクに輝いた。またこの年、グラミー賞で最優秀新人賞を受賞した。
1969年、「Rain」は日本でも「雨のささやき」の名前でレコードがリリースされヒットした。
1970年に発表された「Feliz Navidad」(フェリス・ナビダッド、スペイン語で「メリークリスマス」の意)は米国およびスペイン語圏でもっともよく聴かれるクリスマス・ソングのひとつとなっている。
1971年のサンレモ音楽祭に参加した際にイタリア語で歌った 「Che sarà」(ケ・サラ、スペイン語版では"Qué será"、ケ・セラ)が世界的にヒット。日本でも岩谷時子や西村義明の訳詞で広く知られるようになった。
で、このアルバム「フェリシアーノ!」だが、上記紹介文にある"Light My Fire"(ハートに火をつけて)のカバーが収録されている。
これが、ホセの世界に染まっており、ドアーズが原曲であることを感じさせない。
light my fire, light my fire, light my fire とソウルフルな声で連呼するところにシビれる。
そして、ビートルズのカバーも3曲収録されている。
"In My Life"はボーカル入り。
"And I Love Her"はインスト(ギターがメロディを奏でる)。
"Here, There And Everywhere"もインスト。
これも、ホセの世界に染まっており、ビートルズが原曲であることを感じさせない。
ソウルフルな声と独特な節回しで歌われる"In My Life"の中に、ジョンを感じることは無い。
インスト2曲にも、ポールはいない。
その他も全て誰かのカバーなのだが、どの曲もホセ・フェリシアーノは完全に自分のものにしている。
ホセ・フェリシアーノというオリジナリティが確立されている、と言うか、どの曲を聴いてもホセ・フェリシアーノになっている。
これって、凄いことだと思う。本当に凄いな、ホセ・フェリシアーノ。
そして、別の角度からこのアルバムを聴くと、ビートルズの曲ってやっぱり良い曲なんだな、と改めて気付かされる。
ビートルズのカバー3曲ともホセの世界に染まっているのだが、曲そのものとして良い曲なのだ。
ということで、今はあまり話題になることのないアルバムだが、ホセ・フェリシアーノのオリジナリティの凄さとビートルズの曲の良さを感じることができる、なかなか素晴らしいアルバムだ。
(おまけ)
ちなみにベースはレイ・ブラウン。
ジャズ界の巨人、大御所と呼んでも差し支えないジャズ・ベーシスト。
ここでも仕事をしていたのか、と軽く驚いた。
(おまけ2)
HMVのロゴは "ニッパー(Nipper)/His Master's Voice" なのだが、Victorも同じ。
何故か? 歴史を見ると…
1899年、"ニッパー/His Master's Voice"のロゴが、グラモフォン・カンパニー(英)で商標登録される。
1900年、同社の親会社ベルリーナ・グラモフォン(米)で登録商標される。
1901年、ベルリーナ・グラモフォン(米)を母体として、ビクタートーキングマシン(米)が設立される。
1907年、"ニッパー/His Master's Voice"のロゴがグラモフォン・カンパニー(英)で使われるようになり、その頭文字からHMVと愛称される。
HMVもVictorも、もともと源流は同じベルリーナ・グラモフォンだったから、ということ。
へぇ、そうなんだ。