レコード評議会

お気に入りのレコードについてのあれこれ

Smiley Smile / The Beach Boys【US盤(ステレオ)】

年が明けて、散歩方々、レコード屋に寄ってみた。

 

年始早々からレコード屋… と思ったりもしたが、このブログをご覧いただいている方であれば、普通の行動と思う。

 

で、こんな盤を見つけたので、今年初めの「レコード評議会」は…

 

 

The Beach Boys

Smiley Smile

US盤(Los Angeles Pressing)(1967年)ステレオ

Brother Records

ST 9001

SideA:2 ST-1-9001-H-3:  3   ✲

SideB:2 ST-2-9001-H-3:  1   ✲


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Side A

 1. Heroes And Villains

 2. Vegetables

 3. Fall Breaks Back To Winter(W. Woodpecker Symphony)

 4. She's Goin' Bald

 5. Little Pad

SideB

 1. Good Vibrations

 2. With Me Tonight

 3. Wind Chimes

 4. Gettin' Hungry

 5. Wonderful

 6. Whistle In

 

 

ビーチ・ボーイズの1967年アルバム「スマイリー・スマイル」。そのステレオ盤

 

 

今更ビーチ・ボーイズ?と自分でも思わなくも無いが、「ペット・サウンズ:Pet Sounds」と「スマイリー・スマイル」だけはアナログ・レコードで聴いてみたかったのだ。

 

だが、今までレコード店でお目に掛かったことが無く、かと言って、DiscogsやeBayで海外から取り寄せると盤質が不安だったり、送料が高かったりで、二の足を踏んでいた。

そんなレコードのうちの1枚「スマイリー・スマイル」が盤質EXで、しかもリーズナブルな値段で店頭に並んでいたのだ。

ここで買わなければ、今後聴く機会は訪れないかも知れない。

 

そんな訳で、買ったのがこの盤なのだ。

 

 

ここで「スマイリー・スマイル」について、簡単に説明すると…

 

ブライアン・ウィルソンは「ペット・サウンズ」に続くアルバムとして「スマイル:Smile」の制作を開始。ヴァン・ダイク・パークスを作詞家・アレンジャーとして迎えた曲作りは、楽曲の断片をいくつも録音して、それを繋ぎ合わせるという実験的なものだった。

ところが、周囲の期待に対するプレッシャーからブライアン・ウィルソンはノイローゼとなり、アルバム制作を放棄。

その代替として、既発シングル"Good Vibrations"と制作途中の楽曲の断片を使って何とか完成させたのが「スマイリー・スマイル」だ。

 

アルバムを代表する曲は"Good Vibrations"(既発シングル)と"Heroes And Villains:英雄と悪漢"(先行シングル)

 

1967年ということで、モノラルステレオの両方でリリースされている。で、この盤はステレオ

 

ジャケット上部に"For Stereo Phonographs"とある。

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レーベルはグループ自身が設立したBrother Records。シングル"Heroes And Villains"、アルバム「スマイリー・スマイル」よりこのレーベルでリリースされている。製造と配給は従来通りCapitol

 

デッドワックスを見ると「」が刻印されている。つまり Capitol / Los Angeles Pressing(Capitolのロサンゼルス工場でのプレス)ということ。

 米国Capitolのレコードプレス工場

 

 

ということで、「スマイリー・スマイル」のステレオ盤、どんな音を聴かせてくれるのだろう。

大いなる期待を持って、レコードに針を降ろす、と…

 

ん? 音の分離がイマイチ? 高音が右に寄っている? 低音が左に寄っている?

 

… これって、擬似ステレオ

 

ジャケット上部に"For Stereo Phonographs"とあるではないか?

そんなことないよな、と聴き進んでいくが、A面もB面も全て同じ感じだ。

 

… 間違い無い。全曲擬似ステレオだ。

 

1967年と「サージェント・ペパー」と同じ年のリリースなのに、シングル盤ならいざ知らず、アルバムでステレオ・ミックスを作っていなかったのか?

モノラル・ミックスしか作っていなかったのか?

 

そのモノラル・ミックスCapitolお得意の擬似ステレオ化で、ステレオ盤として売り出したということなのか?

 

どういうこと?

 

 

そこでネットで調べてみると…

 

ブライアン・ウィルソンの右耳の聴力の悪化により、1965年から1967年のアルバム、つまり「ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディThe Beach Boys Today!」から「ワイルド・ハニー:Wild Honey」はモノラル・ミックスのみしか作られず、ステレオ盤は全て擬似ステレオだった、とのこと。

 

そうだったのか…

 

 

Capitolよ、何でわざわざ擬似ステレオ盤を発売する?

モノラル盤だけ出せば良かったではないか…

 

初めから分かっていれば、擬似ステレオ盤など買わなかったのに…

 

完全に調査不足であった。

年始早々、やらかしてしまった。

 

 

が、気を取り直して聴いてみると、擬似ステレオ特有の気持ち悪い音像はいただけないが、音そのものの鮮度は悪く無い。

 

そこで、邪道とは思いつつも、モノラル針で聴いたらどうだろう、と考えた。

擬似ステレオを元のモノラルの音に戻すのだ。

 

すると、これがなかなかに悪くない。

擬似ステレオ化に際してのイコライジング処理の影響も特に感じられず、音も新鮮で響きも良い。

普通のモノラル盤の音として全く違和感が無く、普通に良い音だ。

 

 

モノラル針を使ったモノラル化邪道だとは重々承知している。

だが、普通のモノラル盤として良い音で聴くことが出来るのであれば、良いではないか。

 

 

ということで、「スマイリー・スマイル」のステレオ盤擬似ステレオ盤)は、我が家ではモノラル盤として生きることとなるのであった…

 

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… だが、本当にモノラル盤の音と変わらないのか?

 

TO BE CONTINUED …