今回の「レコード評議会」は「B-SELSで買ったレコード」シリーズ:シーズン14の続きです。
ストロベリーのフィンランド盤という1Gクラスの音を堪能した後、世界一の品揃えの棚に向かう。


私「実は、リボルバーのステレオを持っていないんです」
ご店主「それでしたら、こんなところが良い音だと思いますよ」
と、何枚かをピックアップしていただいた中から選んだのがこの盤である。
The Beatles
Revolver
オーストラリア盤(1966年)ステレオ
Parlophone
PCSO 7009
SideA:YEX 605-1
SideB:YEX 606-1




リボルバーのオーストラリア盤ステレオ。
ポップにはこの様に書かれている。
レア! オーストラリア・ステレオ初盤
rare!Australia org. 1966
UKマザー(UK初回マト)1/1
バナー・ステレオ!!
音は大変すばらしいのでぜひ試聴を!
私「このオーストラリア盤、試聴させてください」
ご店主「バナー・ステレオですね。ぜひ聴いてみてください」
ということで、A面B面と通しで試聴させていただいた。
以下は、各曲を聴きながら、感じたり思ったりしたこと…
Taxman
"One two three four one two"のカウントに続いて、いきなり圧の高いベースが飛び込んできた。ジョージの傑作だが、唸りを上げるベースとキレキレの無国籍風ギターソロのポールが主役。
Eleanor Rigby
ポールのボーカルがとてもリアルに感じる。弦楽器が鮮明かつビターな響きで、疾走感も凄い。それにしてもこの弦楽器のアレンジには、最初に聴いた人は驚いただろう。
I'm Only Sleeping
クリアな音質で聴くと印象が変わる。気怠いジョンのボーカルが、少しきびきびした感じに聴こえる。ミックス違いで、逆回転ギターがそれぞれ違うのが面白い。
Love You To
インド全開のジョージの曲。さほど好きでも無い曲なのだが、クリアな音質ゆえに音だけで聴けてしまう。
Here, There And Everywhere
ポールによる美しいバラード。綺麗な音で無ければ真価を発揮しない曲なのだが、これは聴き入ってしまう。
Yellow Submarine
サウンド・エフェクトが右に左に鳴るのはステレオならでは。リンゴのバスドラムがよく響く。
She Said She Said
リンゴ独特のゆるいグルーヴ。この曲を聴くと"Rain"を思い出してしまうのは私だけでは無いだろう。
Good Day Sunshine
ジャズっぽい雰囲気のあるポールの小品。尖った曲が多い本作において、B面1曲目に持ってくるところが面白い。
And Your Bird Can Sing
「リボルバー」らしからぬ古いタイプの曲に感じるが、ジョンのボーカルと言い、ツイン・ギターと言い、勢いが凄くて最高の一曲。シンプルなリズム・ギターもカッコ良い。
For No One
ポールがささっと作った様な佳作。アラン・シヴィル(フィルハーモニア管弦楽団やBBC交響楽団に在籍)による格調高いホルンの響きが素晴らしい。
Dr. Robert
ジョンのボーカルが前に出て来ていてリアル。オルガンの音も綺麗に響く。このオルガンの響きはラリっている状態のメタファーか?
I Want To Tell You
ジョージの3曲目(1枚にジョージが3曲も収録されている!)。ポールによるエンディングのメリスマがインドっぽい。
Got To Get You Into My Life
ポールによるソウル感満載の傑作。雑味のないクリアな音でありながら、ブラスやベースの圧が高く、最高の音でカッコ良さが倍増。
Tomorrow Never Knows
「リボルバー」と言えばこの曲。ジョージ・マーティンを含めたビートルズの実験精神が爆発した前衛の傑作。ワン・ノート、ワン・コード、ドラム・ループに乗って、様々なサウンド・エフェクトが乱れ飛ぶ。1966年に初めて聴いた人は「何だこれは?」と思っただろう。
私「オーストラリア盤、良いですね! 何と言うか、音が綺麗な感じがします」
ご店主「雑味の無い音ですよね」
私「確かに!雑味が無くて、綺麗な音ですね。UK盤も少し聴かせてもらって良いですか」
ご店主「もちろんです」
と、UK盤ステレオのA面2曲を試聴させていただいた。
私「同じUKマザーでも音が違いますね。響きが明らかに違う。UK盤の方が重心が低い気がします。ビニールの材質の違いなんですかね」
国によってプレス枚数の違いから音の鮮度が変わることもあれば、ビニールの材質の違いで響きが違ってくることもある。
こういうのがあるからレコードは面白い。
私「UK盤も良かったけど、オーストラリア盤の雑味の無い綺麗な音に惹かれました。これ買いです!」
ご店主「ありがとうございます!」

私「それにしても、リボルバーは色々な種類の曲が詰まっていますね。あれもこれも…といった感じで」
ご店主「ホントそうですね。色々なことをやっている」
私「そういう意味では統一感が無い様な感じですけど、そこがこのアルバムの凄いところで、好きなんですけどね」
「リボルバー」は1966年4月6日から6月22日迄(レコーディングは6月21日迄)の2ヶ月半にわたるセッションの末、8月5日にリリースされたアルバムだ。
たった2ヶ月半という時間で、よくもこれだけ色々なタイプの曲を仕上げていったものだと、改めて驚いてしまう。
私「ところで、今更ながらですけど、バナー・ステレオって何なんです?言葉はよく見聞きするんですけど…」
ご店主「レーベルのここ、旗(Banner)の中にSTEREOの文字が書かれているので、そう呼ばれているんですよ。このデザインが人気なんですね」
私「あ、そういうことか。それでバナー・ステレオか」
私「そう言えば、ジャケットのステレオ表示はシールなんですね」
ご店主「そうなんです。UK盤では表ジャケットの右上にSTEREOかMONOの表示がありますが、オーストラリア盤にはそれが無くて、裏ジャケットにSTEREOとMONOの両方が記載されています。共通のジャケットなんですね。それでステレオの場合のみこのSTEREOのシールが貼られいる訳です」
私「へぇ、そうなんですね。面白い(笑)」
といったご店主とのビートルズ談義も楽しい、そして「ビートルズ・レコード学」の勉強にもなるB-SELSである。
世界一の品揃えということだけでも凄いことだが、アルバム丸々一枚試聴も出来て、聴き比べも出来て、勉強にもなるという、ホント凄いお店だと改めて思う。
以前にも書いたが、ビートルズ・ファンにとっての桃源郷である。
まあ、それだけに一度ハマったら抜け出すことはまず不可能な魔窟でもあるが…
ということで、もう1枚買ったので、次回も「B-SELSで買ったレコード」シリーズ:シーズン14です。
(追記)
この記事について、B-SELSで紹介いただきました。
ご店主、ありがとうございます。



